韓国の石油化学-2

| コメント(0)

Koreamap_1 韓国の石油化学の創生期に日本の企業が技術供与、出資で協力したが、その後も多くの企業が進出している。

以下、各コンプレックスの概要と日本企業の状況を見る。(能力は2005年5月現在のもの:単位千トン)

 

1)SK(蔚山)

韓国開発銀行(政府)1962年に大韓石油を設立、その後 Gulf Oil が参加し、1972年に蔚山に韓国最初の石化コンプレックスをつくった。
その後、鮮京(SK)がGulf持株、政府持株を買収して100%出資とした。一時、油公と改称、1997年にSKとした。
SKのコンプレックスの現状は添付の通り。
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/sk.htm 

コンプレックス創生期に日本の各社は誘導品で、資本及び技術支援を行った。その後の状況は次の通り。

丸紅とチッソエンジは大韓油化(PP、HDPE)に出資したが、大韓油化は1991年に近くの温山にナフサクラッカーを建設した。(下記2参照)

旭化成はANMで参加した東西石油化学を100%子会社とした。

三井石油化学は三星石油化学のPTAに参加したが、その後離脱した。同社は現在、三星グループとBPのJVとなっている。両社は三星BPで酢酸も生産している。

石油樹脂でコーロン油化に参加した日本石油化学は現在も出資している。

その後、三井化学は龍山三井化学を設立、東西石油化学のANMを使ってアクリルアマイドを生産している。また、三菱ガス化学が愛敬油化に参加して無水マレイン酸を生産している。

三菱化学BASF1.4ブタンジオールとTHFの技術をライセンスし、製品一部引取りの契約をしている。

なお、SKCは旧称・油公ARCOで、PO/SMを生産している。同社は別途SMプラントを建設したが、その後BASFに売却した。

2)大韓油化(温山)Kpc

大韓石油が1972年に蔚山に韓国最初の石化コンプレックスをつくった際に、大韓油化は丸紅とチッソエンジニアリングの出資と技術供与によりHDPEとPPを企業化した。丸紅は41.59%、チッソエンジは8%を出資している。

大韓油化は1991年に4,500億ウオン)を投じて近くの温山に250千トンのエチレン設備を建設したが、これが経営悪化の原因となり、19938月に7,000億W (当時のレ-トで 900億円)の累積債務で法定管理(会社更生法)を申請した。
この時点で丸紅は出資金を放棄して撤退した。チッソエンジはこの結果出資比率が14%となった。(現状不明)
         
現在の同社の状況は添付の通り。

温山のエチレン、プロピレンを蔚山に輸送している。

3)湖南石油化学(麗川)

韓国政府は蔚山の韓国最初の石化コンプレックスと並行して麗川に石化コンビナート建設を決定、日本に協力を要請した。
これに対して三井グループ、三菱グループが参加の検討を行った。(三菱はその後撤退)

三井グループはエチレン35万トン、HDPE 7万トン、PP 8万トン、EO/EG 8万トンとブタジェンの計画をたて、三井石油化学、三井東圧、三井物産及び日本石油化学(ブタジェンで参加)各25%出資で日本側投資会社の第一化学を設立した。Honam

その後、韓国政府は政府出資の韓国綜合化学を設立、エチレンは同社100%の湖南エチレンで企業化、誘導品は同社出資の麗水石油化学と第一化学の50/50出資の湖南石油化学で企業化した。なおブタジェンは取り止めとなり、第一化学は三井3社が各32%、日石化学が4%出資とした。
湖南石化のほか、韓国政府とダウの50/50JVのKorea Pacific ChemicalでLDPE、EDC、VCMを企業化した。(現在のハンファ)

1979年に韓国政府が韓国綜合化学をロッテと大林産業に売却(その後大林は離脱)、湖南エチレンは大林産業に売却した。
湖南石油化学は1992年に自社エチレンをスタートさせている。

日本側は順次湖南石油化学の経営から外れ、2002年12月に第一化学は持株を売却、2003年6月に第一化学は解散した。
現在は湖南石化の過半をロッテが保有している。

コンプレックス現状は添付の通り。
湖南石化は2001年に三井化学/クラレ技術で4万トン(現在5万トン)のモノマーを製造開始したが、モノマーの増強とポリマー事業展開のため、2006年1月、三菱レイヨンとの間でがMMAモノマー及びポリマーを製造・販売するための合弁会社を設立することで基本合意した。


なお、ロッテは現代石油化学の第2系列を買収している。(後記)

4)LG(麗川)

ラッキーは戦後、クリームからスタート(流行していた煙草のLucky Strikeから社名をとった)、樹脂製の瓶の製造から化学に、その樹脂を使って電機(Goldstar)にと事業を展開した。Lg

1978年に麗川でナフサクラッカーを建設した。

LGの現状は添付の通り。

住友化学日本触媒とともにLG MMAでMMAモノマー、ポリマーを生産している。
またダウとのJVでPCを生産している。
なお、LGはPVC(天津)、ABS(寧波)、その他で中国に進出しており、現在は原料VCM、SMを輸出しているが、天津でEDC、VCMプラントを建設中。

また、現代石化から2000年11月にVCM、PVCプラントを買収したのに続き、2003年ロッテと共同で現代石化を買収、その後第1系列を分割所有した。 (後記)

続く

コメントする

月別 アーカイブ