Basell のサウジJV、イスラム法での融資契約締結

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Basellとサウジの Sahara Petrochemical Company JV、Al-Waha Petrochemical Company はこのたび、イスラム法( Shariah )に基づく融資契約を地元の6行と締結した。
シャリアではイスラム教徒に利子の授受を禁止している。その為、イスラム法の教えに沿ったイスラム債券スクーク(Sukuk)というものができた。「利子」は駄目で、レンタル料、貸出料を取ったり、利益配分を行う。

 

Basellはサウジで3つのプロジェクトを行っているが、イスラム法による融資契約は初めて。
同社では「
サウジで初めて、Shariahに基づく non-recourse project financing 親会社の保証に依存することなく、子会社の当該事業から生み出す収益及びプロジェクト資産のみに依存)に成功し、喜ばしい」としている。

 

なお、SABICは7月にサウジ金融市場庁から30億リアル(約9千億円)のスクークの発行の承認を得ている。
2006/7/12 
SABIC、国内で初のイスラム債券発行」 参照

また、日本の国際協力銀行は原油収入の増大が続く産油国のオイルマネーを取り込むため、日本の金融機関としては初めてShariahに基づくスクークを発行する。2007年前半にもマレーシアで数億ドル規模を発行、08年には中東で起債する。

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Basellのサウジでの計画は以下の3つ。

今回のAl-Waha Petrochemical Company、Basell 25%、 Sahara Petrochemical Company75% のJVで、Al-Jubail でプロパン脱水素によるプロピレンとSpherizonePP 450千トンを建設中。2009年に商業運転を開始する予定。

Saudi Polyolefins Co.Basell 25%Tasnee Petrochemicals 75%JVで、2004年5月からAl-Jubail でプロパン脱水素によるプロピレン450千トンとPP 450千トンを生産している。現在のPP能力は500千トンで、2008年末までに800千トンに増強する。

3つ目は本年6月に設立された Saudi Ethylene and Polyethylene Companyで、Basell 25%出資し、Tasnee と Sahara その他のJVのTasnee & Sahara Olefins75%出資している。
Al-Jubail
にエチレン1,000千トン、プロピレン 285千トン、HDPE(Hostalen ACP法)400千トン、LDPE(Lupotech T法)400千トンを建設する。2008年第4四半期にスタートの予定。

Sahara Petrochemical CompanyTasnee Petrochemicals については
2006/5/13 「サウジの民間ポリオレフィン計画」参照  

付記 

Sahara Petrochemical の親会社 Al-Zamil はこのたび、Chemtura とのJVを設立してJubail にワールドクラスのアルキルアルミ工場を設立する計画を発表した。サウジ周辺でPEやPPの触媒としてアルキルアルミの需要が増大しているのに対応する。

Al-Zamil はChemturaの前身のGreat Lakes Chemical Corporation とのJV、Gulf Stabilizers Industriesを既に設立しており、2000年から、添加剤、抗酸化剤などを生産している。

Chemturaについては2006/11/14 「合成ゴム会社 Lion Copolymer, LLC」参照

 

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