Dow JV説

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2007/3/2 Dow 買収説 で投資会社がDowの買収を計画している、インドのReliance が買収への参加を考えている、との報道があることを報じた。
Dow はこれに対してコメントをしていない。

The Times of India 16日、Dow Reliance Dowの化学品とプラスチック部門を含んだ200億ドルの合弁会社を設立する契約に間もなく調印すると報じた。
合弁会社には
Reliance が約120億ドルを出して59%を保有し、残り41%Dowが保有するとされる。
Dowの基礎部門の2006年の売上高は236億ドルであることから、JVは基礎部門全体ではないのではとの見方もある。

Dowは売却代金でSpecialtyに力をいれるという説や、現在行っている自社株購入を進めて株価の上昇を狙うとの説がある。

 

この報道が真実かどうかは不明だが、これまでの経緯から見ると、決して驚くべきものではない。

Dow側の事情:

Dowの事業のうち、基礎部門の比率が高いが(プラスチックが売上の24%ケミカルズ11%で合計35%)、原料高騰、値下がりにより収益性が低下している。

これに対してDow はJV化による“asset light” strategy を進めている。基礎部門での海外での新規事業を他社とのJVで実施するだけでなく、既存事業を分離して他社とのJVにしようとするものである。

タイのサイアム・セメントとの新規JVは前者の例であり、Kuwait Petroleum Corporation と50/50JVのMEGlobalを設立してダウの設備を出したのが後者の例である。MEGlobal Kuwait での石化事業での提携の延長である。

ダウの会長兼CEOのAndrew N. Liveris は125、基礎部門の中のポリスチレンとポリプロピレンについて分社化して他社とのJVにすることを検討していると報告している。

GEやハンツマンが、原料高騰の影響を受けやすい汎用製品事業を売却するのに対し、DowはJV化により、関係を残しながら、負担減を図ろうとしている。また、JV相手の力の利用も考えている。

Liveris会長は”Asset Light”のメリットとして以下の点を挙げている。
低コスト原料へのアクセス
パートナーのローカルな力の利用
設備投資減
リスク低減

仮に投資会社がDowを買収するとしても、彼らの思惑は、基礎部門を売却し、その資金でSpecialty事業を強化し、企業価値を高めることにあると思われ、今回の案はこれに反するものではない。

 2007/2/3 「ダウ、PSとPP事業のJV化を検討 参照 

 

Reliance側の事情:

Relianceはグローバルに石油化学、合成樹脂事業を拡大する機会を狙っており、2005年8月には、失敗はしたが、BPの石化子会社 Innovene 買収(80億ドル)のためのDue diligence を実施している。

同社はインド北西部のJamanagar経済特区に新しく年産27百万トンの製油所を建設中で、川下の石化事業を計画しているが、Dowが10億ドルを投じてこれに参加する覚書を締結している。
現在交渉中だが、Dowが正式に参加する場合には、見返りにRelianceがDowの米国の石化事業に参加する可能性がある。

投資会社によるDow買収の噂に対し、同社も参加を希望しているとされている。

一方で同社はダウとの提携がうまくいかない場合の代替案として、GEプラスチック買収に手を上げている。

 2007/1/16 「インドの Reliance Industries 参照   

以上の通り、今回のJV案は両社の事情に合ったものであり、インド計画との関連で、両社の間で本件の交渉があっても決して不思議ではない。

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