日タイ、経済連携協定に署名

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安倍晋三首相とタイのスラユット暫定首相は3日、日タイ経済連携協定(Economic Partnership AgreementEPAに署名した。今秋にも発効する。
日本にとっては6つ目のEPAとなる。

これまでの締結国は以下の通り。
 シンガポール(2002年発効)
   
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/big/jpn-singapore-fta.htm
 メキシコ(2005年発効)
   
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/treaty161_1b.pdf
 マレーシア(2006年発効)
   
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/2006-6-2.htm#fta-malaysia
 フィリピン(2006年締結)
   
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/j_asean/philippines/pdfs/gaiyo.pdf
 チリ(2007年締結)
   
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/j_chile/pdfs/gaiyo.pdf

2005年9月に小泉首相とタクシン首相の会談で基本合意し、2006年4月に署名する予定であったが、タイの政変でタクシン首相が退陣、延期となった。

その後、亡命したタクシン元首相が東京で閣僚と会談することに軍事政権が反発、急遽会談を取り消したが、タイ側がEPAに署名しないのではないかとの懸念も出た。(当時はタクシン復帰の可能性もあったが、本件で双方を怒らせたことになった)

しかし、2月末に来日中のタイ外相が、「両国の産業にとって有益な内容であり、重要な協定だ」とし、前政権の政策を継承する意義を強調。今年は日本とタイの修好120年に当たることから、暫定首相が訪日し、両国の連携強化を示すこととなった。

 

EPAの概要は以下を参照。
 
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/j_asean/thailand/pdfs/gaiyo.pdf


貿易に関しては、双方が9割以上の貿易を自由化する。

Thaiepa_1

鉱工業品については、日タイ双方がほぼ全ての品目について、協定発効日から10年以内に関税を撤廃する。

このうち、石油及び石油化学製品については、大部分の品目について関税を即時撤廃し、その他の品目の関税は毎年均等に引き下げ、協定発効の5年後に撤廃する。

交渉の段階では、タイは競争力の高い石油化学汎用樹脂について、日本に対してより短い期間での関税撤廃を要求してきた。
最終的に石油化学汎用樹脂の一部(貿易額で3%相当)については、最長で5年以内に関税撤廃することとした。
主なものは以下の通り。

  1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目
ポリエチレン  5.4%  4.3%  3.3%  2.2%  1.1%  無税
エチレン-酢ビ共重合体  2.3%  1.9%  1.4%  0.9%  0.5%  無税
ポリプロピレン  5.4%  4.3%  3.3%  2.2%  1.1%  無税
ポリスチレン  3.3%  2.6%  2.0%  1.3%  0.7%  無税
ABS  2.6%  2.1%  1.6%  1.0%  0.5%  無税
PVC  無税  無税  無税  無税  無税  無税

詳細は http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/j_asean/thailand/pdfs/fuzoku01.pdf

 

日本からの自動車輸出では、主力となる排気量3000㏄超の大型車の関税は、現在の80%から60%に下がるにとどまる。高関税が当面続くことに自動車業界から不満の声が出ている。

タイ側では、マンゴー、エビ、ドリアンなどの関税が即時撤廃される一方で、コメ、麦、でんぷんなどは高関税が続くことに不満が残っている。

前日合意した韓米FTAと比べると、「小粒な内容」であることは間違いない。

 

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