ダノンとワハハの争い、更に深刻化

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さきに、仏の食品メーカーのダノン Danone が出資する中国の合弁企業「杭州娃哈哈集団」Hangzhou Wahaha Group の飲料水「娃哈哈」Wahaha)のブランド使用をめぐって、ダノンと中国側相手の対立が深刻化していると述べた。

  2007/6/15 仏食品メーカーのダノン、中国で「ブランド流用」で合弁企業と対立 

その後、事態は更に悪化し、ダノンにとって苦しい状況になりつつある。

本件の推移は以下の通り。

1996/2/29   Wahaha Group Ltd DanoneJV契約締結
 商標移転契約(
WahahaブランドをJVに)、非競合契約、守秘契約を含む。
1996/3/28   中国で5つのJV設立で合意、宗慶後が会長に就任。その後JVは39社に。
     
2000年   Wahaha Group Ltd.が改組、杭州市政府が46%所有の会社に。
    6年間で独自に17社を設立し、Wahahaブランドで製品を販売。
     
2006年末   DanoneがWahahaに対し、これらの会社の51%の買収を提案(519百万ドル)、Wahahaが拒否(「安すぎる」)
     
2007/5/9   DanoneがJV契約に関する仲裁をストックホルム商工会議所に申請
(JV契約では仲裁はストックホルム商工会議所で行うこととなっている)
     
2007/6/4   Danoneがロスアンジェルスの裁判所に訴訟 (詳細は6/15記事参照)
2007/6/5  

宗慶後が会長辞任

     

この後、WahahaDanoneの行為に対し法的手続きで正義を追求することに決めたと述べた。Danoneが法に反している証拠を持っているとした。そして、Wahahaは中国の開放方針に反対せず、外資とも協力するが、平等で、互恵の協力関係を望むとしている。

自尊心の強い宗慶後は、Danoneの態度は我慢できないものだとしている。ほとんど全ての決定は3ヶ月に一度出席する役員で決められ、会長として何一つできないとし、Danoneは中国国民の感情を傷付けているとする。「中国が8カ国の軍隊に侵略された時代は過去のもので、中国国民は立ち上がった」とも述べている。

Wahaha613日に杭州市の仲裁委員会に仲裁を要請し、1996年の商標移転契約と合弁契約の終結を求めた。Wahahaは、Danoneとの商標移転契約は当時の商標法では中国の商標管理当局の承認が必要だが、これを得ておらず、無効であるとしている。
Wahahaは商標移転契約に反して、別会社でWahahaの商標を使用していることは事実であり、契約無効論はWahahaの拠り所である。

JV契約では仲裁はストックホルムで行うこととなっており、既に受付けられている。このため、杭州市での仲裁は問題であるが、杭州市の仲裁委員会は翌日、これを受け入れた。杭州市は地元であり、市当局はWahaha46%の株主でもあり、圧倒的にWahahaに有利な場所である。(最終的にここでの調停は有効性に疑問がある)

付記

Danone は712に、杭州市の仲裁委員会に反論を提出したと発表した。
Wahahaが1996
年の
商標移転契約を完全には実行しておらず、最近になって商標管理当局が商標移転を認めなかったと嘘をついているとしている。
Danone 側弁護士は、商標移転契約での両当事者の権利と義務を終焉させるような事情も事態も発生していないと主張している。

Wahaha Group は中国最大の弁護士事務所 King & Wood (金杜律師事務所)を雇い、攻勢に出た。72日に、JVの会長に就任したEmmanuel FaberなどDanone3人の役員を訴えることを明らかにした。
彼らが20以上のJVの競合会社の仕事をしているというのが理由。中国商法に違反し、JVとその株主の利益を損なっているとする。
これに加え、Danoneが飲料水の企業3社ーRobust, Shenzhen YiliShanghai Jianguangheを買収したのも、競合禁止の条項に違反しているとしている。

Robust は飲料水と乳飲料の大メーカー
Shenzhen Yili は深センのYili (益力)Mineral Spring Incorporated
(これらは当然
Wahahaブランドは使用していないが、競合禁止にはひっかかると思われる)

更に、Danoneに対する民族主義的な感情(「外国の悪魔」)があり、多くのJVのディストリビューターがJV製品の販売を止め始めている。
需要家の感情を傷つけることが
Danoneにとって最大の被害となる。

Wahahaが中国で有力ブランドとなったのにはDanoneの力が大きかったのは明らかであるが、Danoneが中国側の商標を採用したのは失敗であった。
今後もDanoneにとって苦しい状況が続くと思われる。

なお、Danone は今月2日に米食品大手の Kraft Foods からあったビスケット・Cereal 製品事業の買収提案(53億ユーロ)に応じ交渉しているが、逆に9日、オランダのベビーフード大手のRoyal Numico N.V.に対し123億ユーロでの買収提案をし、相手側も受け入れる方向であることを明らかにした。健康関連の食品事業を強化する。

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