中国国家環境保護局、公害防止のため小規模化学工場を閉鎖

| コメント(0)

中国国家環境保護局(SEPA712日、安徽省での会議で、 湖沼での公害の防止のため、小規模工場(特に小規模の化学、繊維、染色工場)の閉鎖や、新規計画の承認の停止を含む措置をとる計画を発表した。

中国の湖沼、特に、アオコ(藍藻)の発生で大きな被害を被った江蘇省の太湖安徽省の中国最大の淡水湖の巣湖、雲南省のDianchi さんずい偏に真の深刻な公害の除去を狙ったもの。アオコは水中の豊富な栄養素、特にチッソと燐により急速に成長する。
5月末には中国第三の淡水湖の太湖がアオコで汚染され、無錫市の200万人の市民が数日間水道水を使用できない事態になった。

  2007/6/16 太湖の水質汚染問題 

SEPA局長は地方の役人が環境破壊に目をつぶる悪しき慣行を厳しく批判し、湖沼汚染の悪化に対応する新しい規則を明らかにした。

新しい規則には以下が含まれている。

・チッソと燐のレベル低下のため、排水処理工場に設備の改善を義務付け
 太湖周辺の地域に排水処理施設建設のパイロット計画
・鉄鋼、合金、コークス、カーバイド、銅精錬、自動車などの産業の排出基準の引き上げ
・重金属、チッソ、燐や有機汚染物質を排出する可能性のある新規計画の承認の禁止
・製紙、醸造、化学品製造、繊維、染色などの小規模工場の閉鎖(2010年までに)
・湖沼への汚染物質排出の厳格な調査、基準未達成工場の閉鎖
・1年間の猶予の後、2008年には 3湖沼周辺の全ての企業は環境当局のライセンスを必要とする
・アンモニアと燐を含む排出物のある全ての計画の禁止
・湖沼に流入する地域での燐を含む洗剤の製造、使用、販売の禁止
・3つの湖沼での養魚ネットを2008年末までに除去(餌による汚染防止)
・湖沼沿岸 1km以内での肥料を使用する養魚池、野菜畑、花卉園の禁止

SEPA の調査では11の省の126の工業団地のうち 87.3 %が環境規則に違反して環境を破壊する企業を導入している。
また、
75の排水処理設備の半分が適切に機能しないか、もしくは全く機能していない。SEPAの調査した529社のうち、44.2%が環境規則に違反していた。

地方の役人は企業のGDPへの貢献のみをみて、企業の環境問題を監視する責任を果たしていないともしている。「利益のために環境を犠牲にするという地方の悪しき慣行を打破する必要がある」と述べた。

この問題は国務院も取り上げ、温家宝総理は「汚染原因を徹底的に調査・分析し、これまでの事業を基礎として、総合的な管理を強化し、具体的な改善策と措置を研究し、立案しなければならない」との重要な指示を出した。
温家宝首相は6月末にも、飲み水問題を国家プロジェクトとして優先的に対処すると述べている。

ーーー

地方政府も対策に乗り出した。

雲南省では省都の昆明市の近くにあるDianchi 湖の汚染防止のため、11億ドルを投入する計画を発表した。中央政府に承認を求めている。

湖の埋め立て計画の中止、植林、下水処理工場の建設などに使用する。また、水草を植えたり魚を放して水中のチッソや燐を除去する。

更に、汚染物質排出や下水処理に関して、国の基準よりも厳しい環境基準を設定する。
湖に流入する水のうち、クリーンな水は たった
8%に過ぎない状況で、昆明市の飲み水が危機に瀕している。

江蘇省政府も太湖周辺の小規模の化学プラント2,150を2008末までに停止させる計画である。また、進んだプロセスや技術を持たない新しい化学計画については制限を課すことを計画している。

コメントする

月別 アーカイブ