韓国の独禁法改正案が問題に

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韓国の公正取引委員会の公正取引法施行令の改正案について財界を中心に強い反発が出ている。
「市場支配的事業者の価格乱用行為」の判断基準を補完するもの。

現行の施行令は、「市場支配的事業者が正当な理由なしに、商品の価格を費用変動に比べて顕著に引き上げたり少なく引き下げた場合」に限って価格乱用行為としている。

今回の改正案では以下の2項目が追加された。
商品の価格が供給の費用に比べて、顕著に高い場合
商品の価格や利益率が、同種業種または類似業種の通常的な水準に比べて、顕著に高い場合

財界では、改正案が施行されれば、マーケットシェアの高い企業は商品の価格を引き上げなくても、技術開発などを通じてコストを削減すると「価格乱用行為」とみなされて、公取委の制裁を受ける可能性があるとし、企業の技術開発など原価削減の努力を源泉的に封鎖する恐れがあるとしている。
世界市場で熾烈な生存競争を繰り広げなければならない企業の足かせになる可能性が高いと批判している。

また、「顕著」とか「通常的」という曖昧な表現で恣意的な裁量が過度に拡大する恐れがあるのも問題だと指摘する意見もある。

改正案は規制改革委員会と法制処の審査などを経て11月4日に施行の予定だが、公取委では、「立法予告期間が過ぎているが、規制改革委員会に改正案を提出する前に財界や市民団体の意見をさらに集約して、最終案を確定付ける予定」としている。

付記

韓国公取委は9月3日、独占・寡占事業者など、市場支配的な事業者の価格乱用行為に対して価格または利益率で規制する内容の公正取引法施行令の改正案の中で、利益率の要件を削除した見直し案をまとめたと明らかにした。

さらに「技術革新および経営革新を通じた商品の開発やコスト削減」によって生じた利益は規制の対象から取り除くことを見直し案に明示した。

しかし、
△商品価格がコストより顕著に高く
△同種または類似業種の通常の水準より顕著に高い場合、
企業を制裁するという方針だ。

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これとは別に、韓国の公取委の課徴金賦課が問題となっている。

公取委の企業に対する課徴金賦課は2003年以降大幅に増加しており、昨年は1,753億ウォン(210億円)に達した。
今年も史上最高を更新する可能性が高い。
しかし、行政訴訟で負けたり異議申請が受け入れられて返却した額が昨年は 54件 656億ウォンと37%にもなる。課徴金を賦課した後、証拠が不足したり立証が難しくて公取委が自ら取り消した例も多い。

公取委による課徴金賦課の乱発に対して企業側の不満が強い。
課徴金の返却を受けても、公取委が課徴金賦課の時点で企業の名前を公開しているため、
「不道徳な企業」というレッテルが貼られ、企業のイメージやブランドなどにダメージを与えるとしている。

 

公取委は9月6日、現代・起亜自動車グループの不当内部取引の事実を摘発し、631億ウォンの課徴金を賦課した。
1998年に起亜自動車は経営が破綻し現代自動車の傘下に入り、現代・起亜自動車グループとなった)

公取委の調査では、現代自動車は材料費の引き上げで起亜の払うべき購入額を代納したり、現代カード社の支援のため部品会社への支払を現代カードの法人カードで決済して同社のカード手数料収入を増やしたり、社長が最大株主の輸送会社に自動車と部品の物流業務を一任するなど、他の系列社を不当に支援した取引規模が29706億ウォンになるとしている。

現代自動車側では、公取委の意見書を検討した後、行政訴訟など法的対応手続きを取るとしている。

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* バックナンバー、総合目次は http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm

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