ペトロブラス、南西石油を買収、最新設備新設

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ブラジル国営石油ペトロブラスはエクソンモービル系の南西石油を買収することで基本合意したと報じられた。
買収後に約1千億円を投じて最新設備を新設し、ブラジル産原油を日本でガソリンなどに精製、中国などアジア市場に輸出する。

本件は昨年9月に交渉開始が伝えられたが、その後、進展の報道はなかった。

昨年
11月にブラジル国営石油総裁は次の通り述べている。

2006年4月にブラジルは日量188万バレルの生産で、完全自給体制を確立した。
2011年までに237万バレルにまで拡大し、輸出を増やす。
ただブラジル産の石油は重質油で国内の精製能力が足りないため、欧米やアジアで現地企業の買収や提携などを通じ精製能力を拡大したい。
シノペックとは油田開発や石油生産・精製で協定を結んだ。(中国での製油所建設の実現は中国政府の意向次第)

南西石油はエクソンモービル子会社の東燃ゼネラル石油が87.5%、住友商事が12.5%出資している。
1968年にエッソスタンダード沖縄として設立され、1977年に南西石油と改称した。

沖縄県西原町に製油所を持つ。
能力は常圧蒸留 100,000 BPCD
接触改質 13,500BPCDナフサ脱硫 25,000BPCD灯軽油脱硫 19,000BPCD 

ペトロブラスは東燃ゼネラルの全保有株を買い取り、一部を住商に売却して、製油所を共同運営する計画で、住商に出資比率を20-30%に引き上げるよう要請している。

南西石油は能力が小さく、設備も老朽化しているため、エクソンは閉鎖を検討していた。このため、株式買取り額は数十億円と伝えられている。

ぺトロブラスは1千億円を投じて大型設備を建設し、2010年前後に稼働させ、中国や東南アジアなどにガソリンなど石油製品の輸出を始める見通し。

付記 2007年11月8日調印 (Petrobras 11/9、東燃ゼネラル石油 11/10 発表)

売却額は55億円
 但し、最終的な譲渡金額は、2008/3予定の株式引渡期日時点の資産ならびに負債を調整後、決定。

Petrobras はターミナル能力を利用して、日本やアジアでのバイオ燃料の商業化、原油・石油製品のアジア市場への拡大を計画しているとしている。

1112日、住友商事はペトロブラスとの間で、南西石油の新株主間協定書調印に合意したと発表。
新出資比率はペトロブラス 87.5%、住友商事 12.5%。
3年後を目処に精製設備の高度化の為の設備投資を計画、これにより、安価なブラジル産の重質原油を南西石油で処理することが可能となる。
住友商事はアジア地域を中心とした原油、石油製品のトレードのノウハウと沖縄県内向けを中心とする国内石油販売の機能を提供する。

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日本では2004年(と2005年)にSaudiAramco昭和シェルの株式15%を取得、本年9月にはアブダビ首長国の政府系投資機関、国際石油投資会社(IPIC)が約900億円を投じコスモ石油に20%出資、筆頭株主になることが発表されている。

昭和シェルについてはシェルが持株の一部をAramcoに譲渡するもの。昭和シェルとAramcoの関係を深めて昭和シェルの原油調達能力を高め、競争力を抜本的に強化するのが狙い。
Shell Aramco米国とサウジで共同事業を展開するなど、グローバルな戦略的提携を実施している。

アブダビのIPCIはコスモ石油を「アブダビ政府の大事なパートナー」と評価、経営が良好で石油化学やLPGなど様々な下流部門を持っており、資本参加で上流と下流とのインテグレーションを進めたいとしている。
また、アブダビ産の原油や天然ガスの安定供給先の確保も出資の狙いと説明している。

このほか、アラビア石油と富士石油が統合したAOC Holding にはクウェート石油公社やサウジアラビア政府が出資している。

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日本の石油精製会社の出資関連図(能力は2007/4/1現在)

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* バックナンバー、総合目次は 
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。
  
項目別の索引も作成しました。

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