中国からの中小外資撤退

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3月10日の日本経済新聞は 「中国・華南 コスト高の荒波 『世界の工場』一部外資撤退」を伝えている。

労働契約法改正などに伴う人件費の高騰や人民元相場の上昇、税制面での外資優遇廃止、付加価値の低い加工工場への優遇策縮小などで、一部外資に撤退の動きが出ている。

これは華南だけでなく、中国全体の問題である。

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全国人民代表大会の常務委員会で2007年6月29日、労働者の解雇を制限する「労働契約法」が可決、成立した。
2008年1月1日施行で、事実上、労使間で「終身雇用」契約を結ぶよう求め、違反した雇用者の賠償金支払いを義務付けた。

    2007/7/3 中国、労働契約法を可決 

労働契約法の施行で人件費が上昇している。広州市は最低賃金を10%増の860元(約12,400円)に設定、上海市などを上回り、国内最高額に達するという。
朝鮮日報
によると、労働契約法施行で人件費が2540%上昇している。

また、人民元の昨年の対米ドル上昇率は6.9%に達し、中国製品の価格競争力は低下している。

 

「中華人民共和国企業所得税法」、「中華人民共和国企業所得税法実施条例」が200811日から施行された。

外国企業は優遇税率が適用されていたが、2008年1月1日からは国内外企業に対する所得税率が一律25%に統一される。
(一部、過渡的措置あり)

    2008/1/4 中国、新企業所得税法施行 

 

中国商務部と関税総署は2007年12月24日、共同で第2回目の「加工貿易禁止商品目録」を発表した。
2008年1月21日から実施され、対象製品の加工貿易の税制面のメリットがなくなる

中国政府は付加価値の低い商品や、加工技術レベルの低い商品の輸出を抑制し、加工貿易をレベルアップさせ、貿易拡大方式への転換を目的としている。

    2008/1/12 中国、第2回「加工貿易禁止商品目録」 589件を発表 
      

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現時点では日系工場の撤退はなく、香港や台湾、韓国企業が運営する下請け工場の閉鎖が目立つ。

朝鮮日報によると、アクセサリー、衣類、かばんなど労働集約的な加工を手掛ける韓国からの進出企業の経営環境が急速に悪化しており、無断撤退が増えているという。

山東省煙台市で1月に工業団地に進出していた韓国系繊維会社の韓国人役員10人余りが従業員3,000人余りと生産設備を置き去りにし、夜逃げ同様に姿をくらました。下請け会社に約45000万円の債務があり、従業員に対する賃金支払いが滞っているという。

大韓商工会議所が中国韓国商会加盟350社を対象に行なった経営環境実態調査の結果では、25%が「中国での事業清算を真剣に検討したことがある」、3.1%が「現在清算準備を進めている」と答えた。
韓国輸出入銀行の報告書では、山東省青島地区に進出した韓国企業のうち
2.5%に当たる206社が無断撤退した。

会社を清算する場合、債務や賃金の支払いのほか、複雑な清算手続き、過去にさかのぼって減免された土地使用料や税金の納付を求められる、地方政府の非協力的態度などがあり、無断撤退に走るという。

大韓貿易投資振興公社(KOTRA)は中国の青島、上海、北京、広州にある韓国投資企業支援センターに「経営リスク支援デスク」を設置した。
進出企業に労務、税務、会計など経営上の問題点のほか、中国の他地域や第三国への生産移転、中国からの撤退などに関するアドバイスを与える。

しかし、大韓商工会議所は、「経営環境の悪化で撤収まで考えている企業が増えているが、大多数の進出企業は依然として中国での事業継続を望んでおり、中長期的な政府、関係機関の経営支援策が必要だ」としている。

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労働契約法に関しては、ダノンとの争いを続けているワハハの宗慶後会長(全国人民代表大会の浙江省代表)は3月9日、次のように批判し、変更を要求した。

新しい労働法は昔の国有企業の「鉄茶碗」(割れない=従業員は全て公務員で失業はあり得なかった)時代に戻すものであり、企業の競争力維持のためには変更が必要である。

労働者の権利を守るべきだが、企業が競争力を失くすと労働者はもっと傷つくことになる。


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。


 

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