血液凝固防止ヘパリン製剤 自主回収

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厚生労働省は10日、血液凝固防止作用があり、透析治療に不可欠なヘパリン ナトリウム製剤について、米国内で副作用が疑われる報告が相次いだことから、予防的な措置として、国内メーカー3社が自主回収を始めたと発表した。

米食品医薬品局(FDA)が2月28日、昨年12月以降に米Baxter 製のヘパリン製剤を投与された448人がアレルギー反応を起こし、21人が死亡したと発表した。FDAによると、Baxter が仕入れている米国Scientific Protein Laboratories (SPL) と、同社の中国JVのChangzhou (常州SPLの原液を使ったヘパリン製剤の一部から不純物が見つかった。

扶桑薬品工業、大塚製薬工場、テルモの3社が、米国SPL社から原液を輸入していた。

ヘパリンは透析中や手術後に血栓ができて血管が詰まる血栓塞栓症の予防や治療、血管にカテーテルを挿入する際の血液凝固防止などに広く使われている。

米国ではBaxterが約半分のシェアを持っており、APP Pharmaceuticals が同社と競っている。APP のヘパリンでは問題は出ていない。

参考
1915年、Johns Hopkins大学の学生であったMacLeanが偶然に犬の肝臓から
抗凝固作用のある物質を発見した。
肝臓に多く存在すると考えられたため"heparin" と名付けられた(hepato- は「肝の」という意味)。

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米紙によると、原因はまだ不明だが、中国のChangzhou SPL製の原液が疑われている。

まず、Changzhou SPL は化学会社として扱われており、中国医薬食品局の管轄下になく、米FDAも米国で販売される医薬品原体の製造開始以後、検査をしたことがない。

また、中国では昨年来、ヘパリンで混乱を生じている。
ヘパリンは豚の小腸からつくられるが、全国で豚の病気が蔓延しているため、ヘパリンの製造者は原料収集に駆け回っている状況にある。
この結果、仲買人が、不衛生的な、政府の監視を受けない、小さな村工場からも買い集めており、原料ソースが不明の状態にある。
噂では、羊の狂牛病であるスクレイピーの懸念から欧米では10年以上前から使用を止めている羊の小腸を使っているところとか、コストダウンのため、
blue-ear disease という疫病にかかった豚の小腸を使っているところもあるといわれている。

2月にFDAがChangzhou SPL を視察した結果、記録に不備があること、ヘパリン原液のコンタミを防ぐ手段をとっている証拠がないことが明らかにされた。また製造指示書も不十分なものであるしている。

他方、Baxterと競合するAPP Pharmaceuticals は深センのShenzhen Hepalink Pharmaceutical Co から原液を輸入しているが、同社はFDAや中国当局などから何度も検査を受けて、承認を受けており、大量の記録を揃え、各ロットごとにソースがトレースできるようになっているとしている。

国内3社は「国内で製造販売したヘパリン製剤から、現時点では不純物は見つかっていない。副作用報告もない」としている。

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米国製の医薬品が実は中国の原料を使っており、それがこんな杜撰なやり方でつくられ、チェックもされていなかったとは驚きである。


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。


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