資源戦争激化

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中国を初めとする需要の高まりにより国際価格が上昇しているなかで、世界の資源大手の間で買収の動きが激化している。

ロシアではアルミ最大手のRusal が2位のSUALを買収し、スイスの商社 Glencore を加え、United Company RUSALが設立された。

    ボーキサイト鉱山、アルミナ、アルミ精錬、アルミフォイル生産
    出資比率は
 RUSAL 66%SUAL 22%Glencore 12%

    2006/9/5 ロシアのアルミ最大手RUSAL、同国2位のSUALを買収

BHP Billliton によるRio Tinto 買収問題は中国アルミAlcoa も参加し、複雑な動きとなっている。
Rio Tinto はそれに先立ち、Alcoa から敵対的TOBをかけられていた
Alcan を買収している。

    2007/7/17 Rio Tinto、Alcanを買収 アルミ生産で世界最大に 

    2007/11/15 BHP Billiton Rio Tinto に買収提案 

    2008/2/8  中国アルミとアルコア、Rio Tintoに出資、BHP Billiton はオファー引き上げ
                

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ブラジルの資源大手リオドセ(Vale do Rio Doceは3月25日、年初から交渉していたスイスの同業の Xstrata の買収交渉が決裂したと発表した。

Xstrataはスイスに本拠を置く資源会社で、銅、コークス用石炭、発電用石炭、クロム鉄、ニッケル、バナジウム亜鉛の7つのコモディティを中心に国際市場で活動しており、このほか、プラチナ、金、コバルト、鉛、銀なども扱っている。
発電用石炭では世界最大の輸出業者である。

Rio Doce は同社の買収を狙い、買収価額を780億ドルから900億ドル(9兆円)まで引き上げた。
中国需要の高まりの中で銅、石炭、亜鉛の生産を高め、世界最大の鉱山会社の
BHP Billiton を追い越すことを目指した。

しかし、Xstrataの株の34%を握るGlencore International AG(上記の Rusal に出資)が障害となった。
Rio Doceが45ポンド/株を提案したのに対し、Glencore50ポンドを要求した。
同社はまた、
Rio Doce によるXstrata 買収後に両社の製品を販売する権利を要求した。
世界最大のコモディティ商社であるGlencore は、Xstrata のニッケルコバルト、クロム鉄、バナジウム全量を初め、製品販売権を有している。

Rio Doceにとっては同社のブランドは世界で有名であり、Glencore の要求は呑めるものではなかった。

Rio Doceは今後6カ月間、別の企業がXstrataに買収提案した場合などに、再度買収を提案できる。
あるアナリストは、そのうち市況が下がる可能性があり、6ヶ月の猶予はRio Doce
にとって好ましいものだとしている。

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そのXstrata は英国の Anglo American の買収交渉を進めているといわれている。

1917年9月、ダイヤモンドへの投資で成功したSir Ernest Oppenheimer、金鉱床の開発を目的としてAnglo American Corporation of South Africaを設立した。これがAnglo American の前身である。

鉱物資源、製紙・林業、建設業、金融サービス業など幅広い分野に事業を展開する。
プラチナ(Anglo Platinum)では世界最大で、世界需要の37%を扱う。
ダイヤモンドではDe Beers Investments
に45%出資している。
このほか、金・ウラン、ベースメタル、石炭。

逆にAnglo American Alcoa の買収を検討しているとされる。

資源大手の再編を巡る攻防は一段と激しくなりそうだ。


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。


 

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