BASF、遺伝子組み換え馬鈴薯の承認求め、訴訟も

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BASFは欧州で遺伝子組み換え馬鈴薯 “Amflora”の販売承認の申請を行なっているが、承認が下りず、本年度の植え付けにも間に合わないことから、早期に承認が下りない場合は欧州委員会に対して法的行動も取る可能性を示唆した。

Amflora は遺伝子組み換えにより、馬鈴薯に通常 20%ほど含まれているアミロースをなくし、アミロペクチンのみで構成されるでん粉を製造することができるもので、製紙などの産業用途に好ましい性質をもつとされている。

Amflora はBASFにより開発され、2003年に承認申請がなされた。

承認申請では、この馬鈴薯は食用ではなく、産業用途のみに利用されるとの制限が付けられている。(欧州ではでんぷん需要の56%が食品用で、製紙用は約25%を占める。)
ただし、でん粉を製造した後のパルプについては、動物の飼料として供給することが可能であること、さらに食品用にも0.9%の偶発的な混入がありうるとなっている。

欧州食品安全機関が科学的安全性評価を行い、2005年に「これらの製品による人類や動物の健康、環境に対してリスクがない」とし、環境への影響に関しては通常の馬鈴薯と同一であるとの結論を出した。

これを受けて欧州委員会は承認することを推奨したが、メンバー国の農相の過半数の賛成を得られず、規定により欧州委員会に判断を委ねられた。

しかし、本年3月に欧州委員会は結論を延期した。

本件に関し、環境保護団体からは、欧州食品安全機関による検討は生物多様性や生態系への影響について十分行われていないとか、GM作物を導入するより環境親和的な農法を導入するほうが経済的な波及効果が大きいなどとして、反対活動が行われている。

EUで商業的に栽培するのが認められている遺伝子組み換え作物は1998年に承認されたMonsanto のはトウモロコシだけである。

BASFは4月15日、EUのDimas 環境代表委員と面会したが、結論が得られなかった。

このため、BASFは4月17日、EUに対する公開文書を出し、発表した。

Amflora のようなアミロペクチンのみの馬鈴薯は欧州のでんぷん産業や農家に年に1億ユーロの付加価値を創出する。
遺伝子組み換え作物は既に世界で
12百万人の農民により 114百万ヘクタールの農地で栽培されているが、欧州ではたった10万ヘクタールである。
世界で競争するためには、欧州の農民が安全で革新的な技術を直ぐに使えるようにすべきだ。
欧州食品安全機関は
Amflora が不通の馬鈴薯と同様に安全としており、全ての科学的証拠が安全性を認めている。
Amflora は何年も前に承認申請をしている。EU2006年にこれの承認の推奨をしている。
しかし、全ての手続きが完了しているのに、
EUは昨年7月以降、これをペンディングにしている。
我々は再度、遅延無く承認手続を行い、
Amflora を承認するよう求める。

この発表の席上、「我々は欧州委員会に対して法的行動をとる用意がある」とのコメントがなされた。


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。


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