Ineos の製油所がスト突入、原油パイプラン停止

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スコットランドの Edinburgh 西部にあるGrangemouth 製油所で4月27日、労働者1,200人が年金をめぐり2日間のストライキに突入した。
同製油所からの電力と蒸気の供給が止まったため、BPは北海油田のForties Pipeline を停止した。
英国でストによって製油所が閉鎖したのは、過去70年以上で初めて。
これを受けて原油価格は値上がりした。

Grangemouth 製油所は2005年にIneos がBPから買収したInnovene のもので、能力は日産20万バレル、英国のガソリンとディーゼル油の10分の1を生産し、スコットランドや北アイルランド、イングランド北部へ石油を供給している。
フル稼働に戻るのに3週間が必要とされる。
スコットランドのガソリン需要の10日分をまかなう65千トンの燃料がタンカーで大陸から輸送される。

Forties Pipeline は日量70万バレルを送油し、英国の石油・ガスの約4割を供給、国際市場へも原油を供給している。
パイプラインの一時閉鎖は50の北海油田の停止につながり、1日当たり約100億円の経済損失をもたらす。
製油所のストライキ解除後は、パイプラインも再開するが、「一度止めてしまうと、完全に復活するには時間がかかり」影響は長引く可能性がある。

付記
ストライキは2日で終り、29日に製油所が再開、すぐに電気と蒸気が送付され、パイプラインが動き始めた。
週末には完全復活する予定。

Ineos は製油所のストライキ予告を受け、4月24日に同地にある石油化学プラントを全面停止した。
同地には年産72万トンと32万トンの2系列合計104万トンのエチレンプラントがある。1ヶ月程度停まる可能性があるとしている。

ストライキは今後採用される社員に対する新しい年金制度に関して起こった。組合との交渉は4月23日に決裂し、その後の予定はない。
会社側は現在の年金制度(社員側の積み立てなし)の負担は労務費の25%に達し、寿命が延びる現在では維持不可能とし、今後必要な12億ドルの投資をするためには新制度が必要であるとしている。


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。


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