道路特定財源

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租税特別措置法の期限切れにより、ナフサへの石油石炭税免除が失効する可能性が懸念された。
     2008/1/22 「
ガソリン税問題と石油化学業界への影響」 

331日に道路関連の暫定税率を除いた優遇措置を5月末まで延ばす「つなぎ法案」が成立し、当面は危機を脱した。
おそらく、この後も延長されると思われる。

注)道路関連以外でも約30の租税特別措置が「つなぎ法案」に含まれず、期限切れとなっている。
   ・交際費等の損金不算入(大企業)
   ・試験研究促進税制
   ・中小企業投資促進税制
   ・情報基盤整備の投資促進税制
   ・ビールに係わる酒税の特例(地ビール酒税の2割軽減)
   ・その他

ーーー

福田総理は3月27日、道路関連法案・税制の取り扱いについて、新たな提案を行った。

・道路特定財源制度は今年の税制抜本改正時に廃止し21年度から一般財源化。
・暫定税率分も含めた税率は、環境問題への国際的な取組み、地方の道路整備の必要性、国・地方の厳しい財政状況を踏まえて検討。

しかし、民主党は一般財源化についての担保がないとして話し合いを拒否、道路関連の租税特別措置法は期限切れとなり、4月1日からガソリン値下げの先取りが始まった。

ところが、揮発油税は4月1日から法律上は既に一般財源となっていることが、河野太郎衆院議員のブログで分かった。

   「ごまめの歯ぎしり」 衆議院議員河野太郎の国会日記 (4月1日) http://www.taro.org/blog/

 

道路財源の内訳は以下の通りとなっている。

  基本税率 租税特別措置
(暫定税率)
         国             地方
道路向け配分 19年度
予算(億円)
道路向け配分 19年度
予算(億円)
揮発油税   24.3円/kl  48.6円/kl   全額   28,449    ー  ー
地方道路税
(揮発油税と併課)
   4.4円/kl   5.2円/kl    ー  ー   58/100 都道府県・指定都市
42/100 市町村
  3,072
石油ガス税   17.5円/kl     1/2    140   1/2 都道府県・指定都市    140
自動車重量税 乗用車の場合
2,500円/0.5t
乗用車
6,300円/0.5t
  2/3x0.8   5,549   1/3 市町村   3,599
軽油引取税   15.0円/kl 32.1円/kl    ー  ー   都道府県・指定都市  10,360
自動車取得税    3% 乗用車は 5%    ー  ー   3/10 都道府県・指定都市
7/10 市町村
  4,855
合計           34,138      56,164

基本税率は元の法律で決まっており、租税特別措置法により暫定税率を決めている。

そして、これらの税金を道路財源とすることについては、それぞれ法律等で決められている。

1)揮発油税、石油ガス税:道路整備費の財源等の特例に関する法律第3条第1項

第3条 政府は、平成15年度以降5箇年間は、毎年度、次に掲げる額の合算額(中略)に相当する金額を道路整備費の財源に充てなければならない。
 1.当該年度の揮発油税等の収入額の予算額
 2.(前々年度の揮発油税等の余剰額)

2)地方道路税:地方道路税法第1条

3)自動車重量税:税創設時の経緯から

○福田国務大臣(S46.5.14、衆・連合審査会)
道路を損壊し、また道路がよくなりますればその利益をこうむる自動車の使用者にその負担を求める、これはまず国民から御納得のいくようなことではあるまいか、さように考えまして自動車重量税を創案いたしました。

○中川政府委員(大蔵政務次官)(S46.5.12 衆・大蔵委員会)
国に残りますのは約3,750億ということになります。その中で道路に振り向けなければならないものは約3,000億と見込まれてございます。したがって、道路以外の社会資本の充実に振り向けられる額は750億ということに相なります。
3,000/3,750=0.8

4)軽油引取税:地方税法 第700条 

5)自動車取得税:地方税法 第699条

上記1)の通り、揮発油税、石油ガス税を道路財源とすることについては、法律により、平成19年度までとなっており、3月31日で期限切れとなる。

これに対し、政府はこの法律を「道路整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」という名前に改め、「道路整備費の財源の特例措置の適用期間を10年間延長し、平成20年度以降10箇年間とする」とした。

しかし、これは参院では審議に至らず、結局、揮発油税と石油ガス税は4月1日に法律上は一般財源となった。

ーーー

与党は期限切れとなった「道路整備費の財源等の特例に関する法律」と「租税特別措置法」を衆院の2/3以上の賛成で再可決することを狙っている。

しかし、自民党の中にも道路特定財源廃止、一般財源化を主張する議員がおり、これら法案を通すのは難しく、一般財源化が現実味を帯びてきた。

河野議員等は以下の5つの実現がきちんと担保されない限り、再議決には反対すると主張をしている。(上記ブログ 3月28日)
 ・平成21年度から道路特定財源を廃止し、全て一般財源にする。
 ・道路整備中期計画を最新の需要予測に基づいて削減する。
 ・地方の財源は維持する。
 ・公益法人をゼロベースで見直す。
 ・自動車関連の税を簡素化する。
 (当初は「国土交通大臣を更迭する」という条件も入っていた。)


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。


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