Exxon Mobil の損益

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Exxon Mobil は第2四半期で過去最高の利益を計上した。
116.8億ドルの利益で、前年同期比 14%のアップとなった。

これを受け、米国民主党の大統領候補 Barack Obama上院議員は8月1日、Florida 州 St. Petersburg でのタウンミーティングで新しい提案を行なった。

「計画の最初の部分は、ガソリン代と暖房費をカバーするため、この秋に各家庭に1,000ドルの緊急エネルギーリベートを配ることだ」

しかし、経済は疲弊しており、連邦政府の借入金が増えることとなる。

「そのため、Exxon Mobile のような会社の棚ボタの石油の利益 (windfall oil profits)に課税して、リベートを配ることを提案する」

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Exxon Mobile の第2四半期の利益の内訳は以下の通り。

Upstream (石油・ガスの採掘・製造)は石油価格が平均で125ドル弱で、前年同期比で約2倍となり、68%の増益となっているが、Downstream Chemical はコストアップ分の転嫁が十分できず、大きな減益となっている。

Exxon Mobile (単位:million $)
  2Q 1H
2008 2007 増減 2008 2007 増減
Upstream  10,012   5,963  +68%  18,797  11,994  +57%
Downstream   1,558   3,393  -54%   2,724   5,305  -49%
Chemical    687   1,013  -32%   1,715   2,249  -24%
Corporate   -577    -99     -666     -8  
             
Net income  11,680  10,260  +14%  22,570  19,540  +16%

Upstream についても、大きな投資をしているにもかかわらず、石油やガスの生産量は停滞している。

Exxon の石油とガスの生産量は前年に比べ8%減となった。
Venezuela政府による資産没収、 Nigeriaでのストライキや、原油価格上昇に伴ってホストの国に石油の分け前を増やす契約などがその原因となっている。

   Venezuela との争いについては 2008/2/20  WTI原油価格 過去最高値更新 

これらの理由のため、今回のExxon の過去最高の利益もアナリストの予想からは10%以上低いもので、株価は4.7%下がった。

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Shell の利益も115.6億ドルで、33%アップとなった。
Exploration & Production は90%ものアップ。

同社は財務上の在庫評価を先入先出法で行なっているため、Oil ProductsDownstream)は16%の増益となった。しかし、Chemicals は大幅減益となっている。

同社では在庫評価損益の影響を除くため、現在の原料価格を使用した「CCS (Current cost of supplies) 利益」という概念(後入先出法でもない)を使っているが、Oil Products Chemicals そのベースに置き換えると、両者は大幅減益で、全社合計では79.0億ドルの利益となり、前年同期比 5%アップに止まる。

Shell (million $)
  2Q 1H
2008 2007 増減 2008 2007 増減
Exploration & Production   5,881   3,099 + 90%   11,024   6,492 + 70%
Gas & Power    625    779 - 20%   1,573   1,582  - 1%
Oil Sands    351    202 + 74%    600    317 + 89%
Oil Products   4,539   3,928 + 16%   6,906   5,730 + 21%
 (CCS base)  (1,075)  (2,936) (-63%)   (2,269)   (4,424) (-49%)
Chemicals    157    626 - 75%    505   1,153 - 56%
 (CCS base)   (-142)   (494) (  - )    ( 59)    (974) (-94%)
Corporate    201    177      347    978  
Minority Interest   -198   -144      -316    -304  
 (CCS base)   (-89)   (-131)     (-194)   (-279)  
Total  11,556   8,667 + 33%   20,639   15,948 + 29%
 (CCS base)  (7,902)  (7,556) (+ 5%)  (15,678)  (14,488) (+ 8%)

Shell も第2四半期の生産量は前年比で 1.6%減少した。

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新日本石油の第1四半期決算は以下の通り。 (億円)

実績は増収増益だが、在庫評価の影響を除くと大幅減益。

  売上高 営業損益 経常損益 当期損益 営業損益のうち
 在庫影響
在庫影響除き
営業損益 経常損益
08/1Q  20.372   1,016   1,013   587    926    90    87
07/1Q  15,758    793    880   527    542    251    338
増減  +29%   +223   + 133  + 60   +384   -161   -251

同社は総平均法を採用しているが、本年は石油価格の値上がりが大きいため、期首の安い在庫が損益に大きく影響する。
同社では在庫影響を除いた実質の経常利益は
前年同期比 251億円の減益としている。

経常損益の内訳(在庫影響除外)は以下の通り。(億円)
石油・天然ガス開発でも減益となっている。石油化学製品の減益が大きい。

  当期 前年同期 増減
石油・天然ガス開発   181   236   -55
石油製品精製販売   -44   -90    46
石油化学製品   -52   191  -243
その他     2     1    1
経常損益合計    87   338  -251

     


* 総合目次、項目別目次は
   http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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