中国で粉ミルク汚染

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中国では粉ミルクを飲んだ乳幼児が腎臓結石となるケースが相次ぎ、甘粛省で乳児1人が死亡したほか、北京、上海両市や江蘇、山東、安徽、湖南各省などで発症が確認された。

中国当局は14日、新たに1人の乳児が死亡したことを明らかにした。汚染粉ミルクによる死者が報告されたのはこれで2例目。
衛生当局によると、腎臓結石などにかかった乳児は1200人を超えており、340人は入院治療を受け、このうち53人が重症だという。
(政府は17、患者数が6244人になり、3人が死亡したと発表した。
18日、更に1人死亡、計4人 

衛生省などの調査グループは、病気になった乳児の尿からメラミンの成分を検出しており、「結石は汚染粉ミルクが原因」と結論づけた。

石家荘三鹿集団(河北省石家荘市)は9月11日夜、8月6日以前に出荷した同社製の乳幼児用粉ミルクにメラミンが混入していたとして、該当製品700トンをすべて回収することを決めたと発表した。

衛生省は13日、三鹿集団が製造した粉ミルクに有機化合物メラミンが混入し、同製品を摂取した乳幼児に腎臓結石などの健康被害が生じているとして、同社に生産停止を命じたと発表した。

石家荘市政府は12日、「粉ミルクの原料の牛乳を買い取る過程で、不法分子が利益を上げるため牛乳を水で薄め、メラミンを添加した可能性がある」と説明している。
地元捜査当局は関係者78人を取り調べており、立件に向け本格捜査に乗り出した。(16日までに4人を逮捕した。)

新華社電によると、三鹿集団はは8月上旬に製品からメラミンを検出したため、石家荘市の関連部門に報告した。
市共産党委員会と市政府は緊急会議を行い、疑いがある製品の全面回収とメラミンを含む製品が再度市場に出回ることの絶対阻止を同社に指示した。
8月初めに事態が分かったのに発表を今まで抑えたのは、北京五輪開幕(8月8日)直前だったための隠ぺいではないかと批判が高まっている。

下記の22社のなかには、北京五輪で棄権した陸上男子110メートル障害競争の劉翔選手がイメージキャラクターをつとめる、中国の大手乳製品メーカー「内モンゴル伊利実業集団」が含まれている。

乳児2名の死亡は五輪開催前であった。

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中国政府は16日、三鹿集団のほか、国内の粉ミルクメーカー21社の製品からメラミンが検出されたと発表、製品回収を命じた。

国家品質監督検査検疫総局が全国109社のメーカーの491品目を調べたところ、22社69品目からメラミンが検出された。

広東省のメーカーの製品はバングラデシュ、ミャンマー、イエメンなどに輸出されていた。

汚染粉ミルクが台湾でコーヒー牛乳や月餅などの加工用として使われたとみられることが14日までに台湾の衛生当局の調査で分かった。

中国の乳製品は半加工品として日本に輸出されるケースもあるとされる。

中国の国家品質監督検査検疫総局が北京の日本政府大使館に対し、日本に輸出した事実はないと伝えたが、「三鹿集団」の製品は輸出許可を与えていないというだけで、他社の製品については触れていない。

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付記

問題の三鹿集団(San Lu)にはニュージーランドの乳業大手Fonterraが43%を出資、3人の取締役を派遣している。

FonterraのCEO Andrew Ferrierは9月15日、声明を発表した。

三鹿の取締役会で8月2日に、幼児用粉ミルクにコンタミ問題があることが報告された。
Fonterraが事件を知ったのはこれが最初。
この時点でFonterraはすぐ製品回収を行なうよう、強く主張した。

記者会見で、どうして早めに公表しなかったのか、と問われ、「合弁会社の少数株主として再三催促したが、三鹿は中国当局の指示に従わざるを得なかった」と答えた。

Helen Clark 首相は、ニュージーランド政府は、このコンタミ事件を地方政府が隠蔽しているのを知り、直ちに中国政府に連絡したとしている。
外相が9月5日、直接中国を訪問、本件について中国側に対応を要求したという。

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付記

香港政府の食品安全センターは9月19日、日清食品が香港で販売するデザートの原材料に、化学物質メラミンが検出された中国の大手乳業メーカー「伊利」の乳製品が使われていたと発表した。日清がセンターに連絡し、製品の回収を始めた。

回収されるのは、山東省青島の食品工場で製造された、香港のデザート「糖水」シリーズの「チャ・チャ・デザート」。アズキや豆がベースのおしるこ風のレトルト製品。

丸大食品も製品の回収を始めた。
中国山東省にある子会社で製造し、日本に輸入している「クリームパンダ」、「抹茶あずきミルクまん」、「グラタンクレープコーン」の3品に伊利集団の牛乳を使用していた。
その後、住金物産の中国子会社が製造し、丸大が輸入した「角煮パオ」、「もっちり肉まん」も回収を始めた。

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食品のたんぱく質含有量は窒素の測定値を基に計算される。
デンマークのビール醸造者
Johann Kjeldahl が19世紀後半に開発した方法で、強い酸で試料を溶かし,有機物質の分解で生じた窒素をアンモニアに変え、アンモニアの量で元の試料が窒素を、即ちタンパク質をどれだけ含んでいたかを調べる。

メラミンC3H6N6〕は尿素〔(H2N)2C=O〕とアンモニアを高温で反応させて工業的に合成しており、窒素含有量は67%と非常に高い。
このため、牛乳を水で薄めたことをごまかすため、メラミン混入でたんぱく質含有量を多く見せかけようとしたと見られる

2007年3月、米国とカナダでメラミンが違法に添加されていたペットフードを食べた数百匹の犬と猫が原因不明で死亡した。

FDAは中国の2社、江蘇省徐州Xuzhou Anying Biologic Technology Development Co. と山東省の Futian Biology Technology Co. Ltd.を突き止めた。

両社の製品は成分が小麦グルテンと米プロテインと表示されていたが、実際には単なる小麦粉であった。

中国では、メラミンには栄養価はないが、検査で蛋白質が入っているように見せかける安価な添加物として、動物飼料生産者は何年もの間メラミンを飼料に添加してきたという。

2007/5/19 中国製医薬品とペットフードから毒性物質 

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日本でも汚染米が問題になっており、中国のことを言っておられない。

付記

中国国家品質監督検査検疫総局は9月19日、汚染米が原料に使われたアサヒビールの焼酎を輸入停止にするとともに、日本から輸入される酒類に対する安全検査を強化すると発表した。


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http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

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