Westlake Chemical、ビニルチェーン強化のため、電解増設

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台湾のT.T.Chao が米国に設立したWestlake Chemical は8月29日、ビニルチェーンの強化のため、Geismar, Louisiana に最新技術で電解設備を新設すると発表した。

同社にはOlefins Business と、Vinyls Business がある。
現在の能力は以下の通り。(単位:千トン)

Olefins Business Lake Charles, LA エチレン 1,140 LDPE 680
LLDPE
 445
SM
 220
     
Vinyls Business Calvert City, KY エチレン 205 塩素  225+50 VCM 590 PVC 360  
Geismar, LA   (塩素  250 VCM 270 PVC 270  
North American Pipe         PVC Pipe 415
     (25+55

同社については 2006/9/16 Westlake Chemical、20周年 

           2008/3/12 T.T. Chao 逝去 

Vinyls Business Calvert City, KYGeismar, LA VCMPVCのプラントを持つが、原料のエチレンと塩素はCalvert Cityのみにプラントを持っている。
現在、
Calvert Cityで電解工場を50千トン増設中で、完成すれば塩素能力は275千トンとなる。

今回の決定は電解工場をGeismarに新設するもので、能力は塩素が250千トン。
建設費は
250300百万ドルで、2011年上半期にスタートの予定。
資金の一部は
2005年のハリケーン・カトリーナの被害地に2010年までの時限立法で認められた湾岸特区債(Gulf Opportunity Zone Bonds)で賄われる。この債券の利子は非課税扱いとなる。

これが完成すれば全社の塩素の能力は525千トンとなる。
* 同社発表では525,000 electro chemical units (ECU's) となっている。
 
1ECU  塩素1.0 ton+苛性ソーダ 1.1 ton 

同社は子会社のNorth American Pipe で塩ビパイプを生産しているが、本年3Yucca, AZ に新しく塩ビパイプ工場を建設すると発表した。
能力は
55千トンで、2009年第1四半期に生産を開始する。
なお、
Calvert City, KYでも25千トンのプラントを建設中で、間もなく完成する。

Westlake の社長兼CEO Albert Chao は次のように述べている。
「新設備は同社にとって重要な戦略投資で、塩ビ事業の垂直統合を更に進め、ビニルチェーンの価値を高めるものである。
先に発表した
Calvert Cityでの電解増設、アリゾナでの塩ビパイプ工場建設とともに、需要家に米国全土で(on a coast to coast basis)良質の製品の供給を可能にするものである」

米国ではShintech のビニルチェーン拡大計画が目立つが、塩ビ事業の採算悪化のなかで Westlake もこれに力をいれているようだ。

なお、Shintech の能力は以下の通り。(単位:千トン)

立地 PVC VCM 塩素
Texas州 Freeport  1,450   -   - VCMは 隣接のDowから購入
2007/5 発表の計画*1  (825  (500 Dow品VCM代替
Louisiana州 Addis   590   -   - VCMは 隣接のDowから購入
Plaquemine  第1期   300   500   300 2008年8月初めに稼動
第2期   300   250   150
Addis (買収→廃棄) 270→0   -   - Bordenから購入、廃棄
合計  2,640  1,575   950

*1 本計画はダウ・ケミカルが2008年1月に信越化学への長期供給を決めたため、自社生産の緊急性が薄らいだ。
白紙撤回はしない考えだが、稼働時期は見直す。

     


* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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