豪州の独禁法当局、BHP Billton の Rio Tinto 買収にOK

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豪州の独禁法当局 Australian Competition and Consumer Commission (ACCC) 10月1日、BHP Billton Rio Tinto 買収に反対しない旨、発表した。買収が競争を著しく減らす可能性は少ないと判断した。

ACCC 822日、"statement of issues" を出し、本合併の問題点を明らかにした。

合併が鉄鉱石の取引に対する影響(特に豪州の製鉄メーカーへの影響)が大きいとする一方、銅、金、ウラン、ボーキサイト、アルミに関しては競争上の大きな問題はないとした。

鉄鉱石でのシェアはブラジルのVale に次いで、 Rio Tinto 2位、BHP 3位で、合併すれば海上取引の35%を押さえることを問題視した。

今回は、利害関係者から幅広く聴取し、両社の内部資料も十分検討して結論を出したとし、以下の理由を挙げた。

合併会社は鉄鉱石、石炭、ボーキサイト、アルミナ、銅、ウランなど、幅広いコモディティのグローバルなサプライヤーになり、特に鉄鉱石では三大サプライヤーのうちの2社を統合することとなる。
内外から懸念が出されているが、
ACCCは合併が市場での競争を著しく減らすことはないと判断する。
鉄鉱石に関しては、投資が多大であるため新規参入へのバリアは高いが、調査によると、最近の需要増大に伴い、新規参入や拡大計画が増えている。それらの多くは、鉄鋼メーカーによる購入保証や投資がベースとなっている。
他のソースがあることや鉄鋼メーカーの支援による増産などで、合併会社が鉄鉱石のグローバルな需給バランスを左右することは難しいと考える。
既存サプライヤーや新規サプライヤーの存在のため、合併会社が鉄鉱石の供給を制限することはないと思われる。
豪州での鉄鉱石の供給に関しては、豪州に鉄道や港湾設備を有する他のサプライヤーがあるため、豪州の鉄鋼メーカーが高い価格で買わされることはない。

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米司法省とFTCは、買収の事前通知に対し、調査活動を開始しないことを決めている。

EUは事前調査に1ヶ月かけたが、世界最大と世界第二位の鉱山業者の統合には多くの懸念があるとし、7月4日に徹底調査を開始した。
12月上旬とみられていた最終判断の期日は年明けにずれ込む模様。

2008/8/28 BHP Billiton によるRio Tinto 買収のその後

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日本の公取委も調査を開始している。

公取委は8月以来、領事送達や郵送による書類の送付で報告命令を出しているが、
BHP Billton は受領を拒否している。

公取委事務総長は9月24日の定例記者会見で、同日、公示送達の手続を採ることとしたと述べた。公示送達の掲示を始めた日から6週間を経過することにより、報告命令を送達したという効果が発生する。

BHPビリトンからの報告がなくても、他のいろいろな手段の情報収集によって審査活動を進め、独占禁止法第10条で禁止しているような一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなれば、排除措置命令を出す可能性があるとしている。
http://www.jftc.go.jp/teirei/h20/kaikenkiroku080924.html#k080924_2

独禁法では確定した排除措置命令に違反した者には2年以下の懲役又は300万円以下の罰金(併科が可能)に処せられ、法人については3億円以下の罰金(私的独占、不当な取引制限においては差止めを命ぜられた部分以外については、300万円以下)の両罰規定が設けられている。


* 総合目次、項目別目次は
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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