台湾プラスチック創始者、王永慶氏 逝去

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「台湾の松下幸之助」と評された台塑集団(台湾プラスチックグループ)の創始者、王永慶Wang Yung-Chingは10月11日から仕事で米国を訪問していたが、15日朝(米東部時間)、米ニュージャージー州の病院で、心筋梗塞のため死去した。91歳だった。

<p><p>HTML clipboard</p></p>16歳で起業して1954年に台湾プラスチック(FPC)を創設して塩ビ事業を始め、1958年には南亜プラスチックを、その後台湾化学繊維を設立した。

中国石油(CPC)が台湾のエチレンを独占していたが、1992年5月に傘下の台湾プラスチック(40%)、南亜プラスチック(30%)、台湾化学繊維(30%)の出資で台塑石化(Formosa Petrochemical) を設立、雲林県麦寮区に第6エチレンの大規模な石油化学コンプレックスを建設した。

現在はCPCのエチレンが1,080千トンであるのに対し、第6エチレンは2,935千トンに増設している。

  台湾の石油化学の状況 http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/taiwan-complex.htm

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同氏は2002以降は株主総会に出ておらず、2006年には会長を退任した。現在親会社は甥のWilliam Wong と娘のSusan Wangが率いる7人委員会が経営に当たっている。
現在の金融危機にあたり、米国の事業をチェックするため、訪米していたという。

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FPCは早くも1981年に米国に進出した。

Formosa Plastics Corporation, U.S.A. を設立、1981年にStaufferからDelaware工場(PVC)を買収、1983にはTexas工場(エチレン1,500千トン、HDPE、LLDPE、PP、電解、VCM、PVC)を建設、1990年には Louisiana工場(電解、VCM、PVC)を建設した。

また、2002年には破産したBorden Chemicals and PlasticsからIllinois州のIlliopolis工場(PVC)を買収した。(残る2プラントはWestlakeとShintechが買収した)

2004年4月に上記 Illiopolis工場で、2005年10月にテキサス工場で爆発事故が起こっている。

   2007/3/12 米国Formosa PlasticsのPVC工場爆発事故の調査結果

また、Inteplast Corporationを設立してBOPP, ストレッチフィルム、PPシート、硬質PVCシート、PE袋などを生産、J-M Manufacturing Co.を買収してPVCパイプを生産、さらに子会社の南亜がEG、ポリエステル繊維、軟質及び硬質PVCフィルムを生産するなど、幅広く活動している。

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王永慶は何度も中国本土でのエチレンコンプレックスの建設を検討した。

現在も浙江省寧波市の北崙経済技術特区で石油精製10百万トンとエチレン120万トン、プロピレン60万トン、及び各種誘導品を建設する計画をもっているが、台湾・中国双方の認可が得られていない。

しかし、寧波での誘導品計画はドンドン進展している。

FPCは間もなく、寧波市の北崙経済技術特区で45万トンのPPプラントの商業生産を開始する。
子会社のFormosa Chemical and Fibre Corp も同地で間もなく年産 60万トンのPTAプラントの生産を開始する。
既に北崙経済技術特区の梅山島でPVC 30万トン、ABS 24万トン、アクリル酸 16万トン、アクリル酸エステル 30万トンを操業している。

最近になって、寧波のエチレン計画を取り止め、エチレンやプロピレンを麦寮から輸送する案が出ている。

 2008/4/16  台湾プラスチック、寧波エチレン計画取り止めか 

寧波の石油化学製品のほか、江蘇省昆山にエレクトロニクス材料工場、江蘇省呉淞江に紡織原料の生産拠点を設置している。

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なお、王永慶と同様、台湾でPVCから事業を始め、米国でもPVCから事業を拡大、更にマレーシア、中国に進出したのT.T. Chao だが、彼も本年3月に86歳で逝去している。

 2008/3/12 T.T. Chao 逝去 

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付記 原油価格

昨日、「原油価格、株価に連動して下げ」として、原油価格と株価の連動を報告した。

この原則は早くも崩れた。

16日のニューヨーク原油先物相場のWTI原油は、この日発表された米週間石油在庫統計で、原油在庫が事前予想の190万バレル増に対して560万バレル増と大幅増加になったのを受け、終値は69.85ドルとなり、2007年8月以来初めて70ドルを下回った。

NY株式相場のダウ工業株30種平均は、当初上昇、その後反落があったが、原油価格が70ドルを割ったのを受け消費関連株が買われたことが相場を押し上げ、前日比401.35ドルアップの8979.26となった。<p><p><p>HTML clipboard</p></p></p>


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  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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