医薬会社の中間決算対比

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各社の中間決算の結果がまとまった。(中外製薬は6月中間決算)

 
 
 
 

1)武田薬品工業 (987億円の増収、営業損益 1,799億円の減益)

2008/11/7  注目会社 2008年9月中間決算-3 参照。 

TAP Pharmaceutical Products の分割・統合、米国バイオ医薬品会社 Millennium Pharmaceuticals 買収した。

両社の子会社化により、両社の売上高が本年5月から武田の連結売上高に加わった。
円高による影響額(280億円の減収)を補い、増収となった。

しかし、これに伴う費用処理で大幅減益となった。
なお、TAP のルブロン事業をJV相手の Abbott
に譲渡した譲渡益を特別利益に計上している。

米国事業再編によるTAP社の分割・子会社化およびミレニアム社買収の影響
    TAP社の分割・子会社化 ミレニアム社の買収    合計
販売費一般管理費 無形固定資産償却費     124億円     199億円    323億円
のれん償却費       -     68億円    68億円
研究開発費 インプロセスR&D費     573億円    1,114億円   1,687億円
営業損益   -697億円   -1,381億円  -2,078億円
特別利益 ルプロン事業譲渡益     753億円       753億円 

 

2)アステラス製薬 (97億円の増収、営業損益 168億円の減益)

円高の影響(売上高 -170億円、営業利益 -34億円)があったが、増収となった。

研究開発費は787億円増加したが、増収と売上原価率の低減で、営業損益は168億円減に止まった。

 

3)第一三共 (374億円の減収、営業損益 323億円の減益)

円高傾向で推移したこと、欧州子会社の決算期の変更、医薬品事業への集中化方針でその他事業を自立化させたことなどにより減収となった。
(2007年1月-3月の売上高141億円、営業利益18億円が前年第1四半期に加算されている。)

減収に加え、海外における営業基盤の拡充や積極的な研究開発投資などにより、営業利益は減益となった。

 

4)エーザイ (360億円の増収、営業損益 105億円の減益)

前期のMGI PHARMA, INC.買収に伴うのれん償却額の計上や研究開発活動への積極的資源投入の結果、減益となった。

 

5)田辺三菱製薬 

2007年10月1日に田辺製薬と三菱ウェルファーマが合併したため、前年比は増収増益となっているが、上のグラフは前年上期は両社の成績を合算した。そのベースでは14億円の減収、営業損益は 57億円の減益となる。

売り上げ減少、売上原価率悪化、合併によるノレン償却(50億円)、研究開発費増加で減益となった。

 

6)中外製薬 (250億円の減収、営業損益 127億円の減益)

抗インフルエンザウイルス剤「タミフル」の売上高減少、昨年末のサノフィ・アベンティスとの販売提携解消が減収、減益の理由。

特別利益に「アクテムラ」に関わるホフマン・ラ・ロシュとの共同開発精算金 63.4億円が入った。

 

7)大日本住友製薬 (56億円の増収、営業損益 41億円の減益)

薬価改定の影響やアムロジンの減収があったが、新製品の発売、新規生産受託の開始、輸出の増加で増収となった。

統合失調症ルラシドンの海外臨床開発の進展に伴う研究費の増加で減益となった。

 

8)大正製薬 (56億円の増収、営業損益 4億円の増益)

前期末に連結子会社としたビオフェルミン製薬の売上高44億円が加わった。

「当期損益」は、合併したビオフェルミン製薬のノレン償却 128.5億円があり、赤字となった。

 

9)塩野義製薬 (9億円の増収、営業損益 13億円の増益)

医療用医薬品全体の売上高はほぼ横ばい、「工業所有権等使用料収入」が増加、シオノギエンジニアリングサービスの工事受託は減少した。

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配当

武田薬品工業は前年の168円から176円に増配する予定。
因みに、同社の2001年3月期の配当は50円で、毎年増配している。

エーザイも前年の130円から140円に増配する。(2001年3月期の配当は23円)

アステラス製薬は前年の110円から120円に、第一三共は70円から80円に増配する。


* 総合目次、項目別目次は
 http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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