サウジ石化事業に資金問題

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Saudi Kayan Petrochemical Company は200510SABIC 35%、Al-Kayan 20%出資で設立された。残り45%は昨年公募した。

アルジュベイルに100億ドルを投じて、エチレン 1,350千トン、LDPE 300千トン、PP 350千トン、Bis-Phenol A 240千トン、PC 260千トン等の石化コンプレックスを建設するもので、2009年稼動を目指した。

2006/7/5  新しいサウジ石化計画スタートへ

当初、SABICは2007年後半に本計画での借入交渉をする予定であった。しかし、GE Plastics 買収のための15億ドルの借入交渉を先行させた。

これに時間がかかり、そのうちサブプライム問題が発生した。

このため急遽交渉を始め、2008年5月末にKayan 計画の借入契約(60億ドル、期間15年)をまとめた。

国際的な金融機関から地方銀行、イスラム金融、政府機関など幅広いもので、韓国の輸出保険会社やEXIM銀行、英国のExport Credits Guarantee Department Saudi Industrial Development Fund (SIDF) Saudi Public Investment Fund (PIF)などが含まれている。

 

今回サウジ政府のSaudi Industrial Development Fund (SIDF) がこの契約に不満を示し、場合によっては 530 百万ドルの融資の取り止めも示唆している。

いくつかの問題を指摘しているが、最大の問題は金利率である。

SIDFの契約内容そのものは開示されていないが、商業銀行の条件は当初はLibor (ロンドン銀行間取引金利)+50 basis points で、建設後は+75 basis points となっている。(1 basis point = 0.01%)

この地域での契約では通常 Libor +200 basis points 以上となっており、これは極めて低い。

各行はSABICとの関係維持を願って、不利な条件を呑んだものだが、自行のコストアップで赤字必至となっている。

サウジ政府の金融機関が不満を表明するのは異例のことで、ブーム時に進められた多くの計画が重要な問題を含んでいる可能性を示唆している。

新規事業だけでなく、既存事業についても今後再点検される可能性があるとされている。

 


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