注目会社 2009年3月決算-4 続き

| コメント(0)

三菱ケミカルホールディングス

下期の石油化学関連の赤字が大きく、通期で大幅赤字となり、配当も4円減らした。
次期予想は経常損益までは黒字だが、180億円の特別損失を見込んでおり、当期損益は赤字となる。

連結決算                     単位:億円(配当:円)
売上高 営業損益 経常損益 当期損益  配当
中間 期末
08/3   29298 1250 1289    1641 8.0   8.0
09/3   29090     82    -19    -672 8.0   4.0
増減    -208 -1169 -1308   -2312 - -4.0
10/3予   25000    650    410     -90 4.0   4.0
営業損益対比(億円)
08/3 09/3 増減 概算増減理由 2009年
数量差 売値差 買値差 固定費他 その他 上期 下期
エレクトロニクス・アプリケーションズ 316    48 -268 -180 -280 190 10 -10 106 -59
デザインド・マテリアルズ 97 -21 -118 -70 70    80 -40     0 27 -48
ヘルスケア 572 793 221 130 -140    10 40 180 372 421
ケミカルズ 109 -555 -664 -90 910 -1,140 -70 -270 70 -625
ポリマーズ 112 -130 -242 -120 240 -290 0 -70 -5 -124
その他 141    88 -53 -60 30 -40 10     0 62 26
全社 -97 -141 -44 - - - -40 - -70 -71
合計  1,250  82  -1,168 -390 830 -1,350 -90 -170  562  -480
-520
エレクトロニクス・アプリケーションズ 記録材料、電子関連製品、情報機材、無機化学品
デザインド・マテリアルズ 食品機能材、電池材料、精密化学品、樹脂加工品、複合材
ヘルスケア 医薬品、診断製品、臨床検査
ケミカルズ 基礎石化製品、化成品、合成繊維原料、炭素製品、肥料
ポリマーズ 合成樹脂
その他 エンジニアリング、運送及び倉庫

ヘルスケアを除き減益となったが、特にケミカルズとポリマーズが営業損失となった。
同社の場合は棚卸資産の評価を総平均法としているため、住友化学や三井化学(後入先出法)と比べ、前期末の高値在庫の影響が大きい。

なお、2008年3月期決算時の予想によると、鹿島の事故関連は、本決算では保険金の入金で益となっている。

鹿島事故損失予想(億円)

2008/3 2009/3 合計 科目
減産、減販、代替品調達 -  82  -55  -137 営業損益
プラント停止・低稼働   -20 - 20 営業外費用
-  30  - 30 特別損失
合計 -112  -75  -187
保険金  140   140 営業外収入
差引合計 -112     65  - 47

ヘルスケア増益は2007101日に田辺製薬と三菱ウェルファーマが合併し「田辺三菱製薬」になった影響による。

田辺製薬が存続会社だが逆取得の形をとったため、2008年3月期は三菱ウェルファーマの中間決算に田辺三菱製薬の下期を加えたものとなっている。

比較のため、田辺製薬の2007年上期を加算すると以下の通りとなる。

連結決算                            単位:億円(配当:円)
売上高 営業損益 経常損益 当期損益  配当
中間 期末
08/3 田辺 上期    938   184   192    99 13.0
田辺三菱製薬   3156   540   544   220 ( 7.68)  13.0
年間ベース   4094    725   736     319  13.0  13.0
09/3  4148   717   726   265 14.0 14.0
増減     53    -8   -11    -54 1.0 1.0

特別損益は以下の通り。(億円)

    08/3 09/3 増減
特別利益 田辺合併 持分変動利益 1,181    
その他     52   148  
合計 1,233   148 -1,085
特別損失 投資有価証券評価損       1   115  
減損損失     19   114  
薬害肝炎訴訟損失引当     95    88  
原材料仕入契約解約損      50  
田辺合併関連     49    
鹿島事故に伴う低稼働損失     30    
その他    150   202  
合計    344   569     225
差引      889 -421 -1,310

減損損失には、停止が決まったヴイテックのPVC設備(水島、川崎:45億円)や黒崎のカプロラクタムやナイロン設備(27億円)などが含まれる。

薬害肝炎の給付金については、負担割合が決定し、見込み額が200億円となったため、当期に88億円を特別損失に追加計上した。

なお、同社の場合は、繰延税金資産の取り崩しは行っていない。


* 総合目次、項目別目次
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


コメントする

月別 アーカイブ