スイスの資源大手 Xstrata が英国のAnglo American に合併提案

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スイスの資源大手 Xstrata は6月21日、Anglo American 対等合併の提案書を送付したことを認めた。
両社の合併は大きなシナジー効果があるとしている。

合併が実現すれば、合併会社の時価は680億ドルで、世界の資源会社ではRio Tinto を抜き、 BHP BillitonVale do Rio Doceに次ぐ第三位となる。
合併会社はダイヤモンド、プラチナ、クロム、亜鉛で世界最大、銅ではチリの
Codelcoに次ぐ第二位となる。

Xstrataはスイスに本拠を置く資源会社で、銅、コークス用石炭、発電用石炭、クロム鉄、ニッケル、バナジウム亜鉛の7つのコモディティを中心に国際市場で活動しており、このほか、プラチナ、金、コバルト、鉛、銀なども扱っている。
発電用石炭では世界最大の輸出業者である。

英国のAnglo American の前身1917年9月にSir Ernest Oppenheimer (ダイヤモンドへの投資で成功)が金鉱床の開発を目的として設立したAnglo American Corporation of South Africaである。

鉱物資源、製紙・林業、建設業、金融サービス業など幅広い分野に事業を展開する。
プラチナ(
Anglo Platinum)では世界最大で、世界需要の37%を扱う。
ダイヤモンドではDe Beers Investments に45%出資している。
このほか、金・ウラン、ベースメタル、石炭。
 

Xstrata に対してはブラジルの資源大手リオドセ(Vale do Rio Doceが2008年初から買収交渉を続けたが、同年3月、買収交渉が決裂した。

Xstrataの株の34%を握るGlencore International AG(ロシアのRusal に出資している)が障害となった。
Rio Doceが45ポンド/株を提案したのに対し、Glencore50ポンド/株を要求した。
同社はまた、
Rio Doce によるXstrata 買収後に両社の製品を販売する権利を要求した。

Rio Doceにとっては同社のブランドは世界で有名であり、Glencore の要求は呑めるものではなかった。

Xstrata は2008年8月6日、プラチナのLonmin PLC (英) に買収提案したと発表した。買収額は約50億英ポンド。

同社は市場でLonmin の株式を10.68%取得したが Lonmin は本提案を拒絶、10月にはXstrata自身が、現下の金融情勢の下、買収資金の調達が困難になったとして、買収を断念することを表明。しかし、同時に市場において、Lonmin の株式の買い増しを行い、持分を24.9%まで増加させた。

2008/3/29 資源戦争 激化 

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しかし、Anglo American は622、これを拒否した。

提案は同社の株主にとって魅力がないとし、合併条件は全く受け入れられないものであるとしている。

今後、 Xstrataが新しい提案を出すか、又は敵対的買収に乗り出す可能性がある。

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今回の合併提案は資源価格の大幅ダウンを受けてコストダウンを強いられている資源会社の状況を反映している。
多くの金属、ミネラルの価格は1年前に比して30%~50%下がっている。

またRio TintoとBHP Billiton豪州での石炭事業統合など大手の動きを受けたもの。

情報筋によると、 Xstrata 側は対等合併としてAnglo American の株にプレミアムをつけておらず、かつ、合併会社の経営権を握りたいとしており、実現するかどうかは分からない。

Xstrata側ではシナジー効果を10億ドル以上としているが、Anglo American ではコストダウン効果はもっと少ないとみており、合併は Anglo よりも Xstrata 側に有利なものとみる向きもある。

Anglo American の主な事業は南アフリカにあり(株主の多くも)、南ア政府の承認が必要。

また、Xstrataの株の34%を握るGlencore International Rio Doce によるXstrata買収(失敗)の時と同様に、合併会社の製品の取り扱いを要求する可能性もある。


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