合成ゴム100年

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本ブログは2006年2月15日に始まった。

第1号のタイトルは「プラスチック100周年」であった。

「来年2007年はプラスチックが初めて誕生してから100周年に当たる。
1907年、ベルギー系アメリカ人のベークランド博士がフェノール樹脂(商品名:ベークライト)を開発した。・・・・」

本年は「合成ゴム100周年」である。

バイエル(当時の社名はElberfelder Farbenfabriken vormals Friedrich Bayer & Co.)のFritz Hofmann が1909年9月12日、「合成ゴム製造過程」に関する特許第250690号を取得した。

天然ゴムは10万~100万のイソプレン分子からなる付加重合体(cis-1,4-ポリイソプレン)であることは1905年に解明されたが、誰も重合することが出来なかった。

Hofmann isoprene の代わりに methyl-isoprene を使用した。

彼は原料をスズ製容器にいれ、熱して、待った(時には数ヶ月も)。温度により軟らかさは異なったが、常に弾力性があった。
最初の合成ゴム(メチルゴム)である。

Continental Tireは、早くも1910年に、これを使った最初の自動車用タイヤの生産を始めた。

Hofmann1866年にWeimarの近くで生まれた。薬学と化学を勉強し、2年間大学で教えた後、1897年にBayerに入社した。
1956年に90歳で死亡。

その後の研究で、ナトリウムを加えることで速く、効率的に生産できることが分かった。

Hoffmanの後継者は1920年にブタジエンとナトリウムから別の合成ゴムの製造に成功した。このブタジエンゴムは(Butadien + Na から) Buna と名付けられた。

その後、Walter Bock Eduard Tschunkurがブタジエンとスチレンからスチレン・ブタジエンゴム Buna S を開発、19294月に特許を取得した。

更にEduard TschunkurHelmut KleinerErich Konrad がニトリルゴム Buna N (その後Perbunan に変更)を開発、19304月に特許を取得した。

その後、ナイロンの発明者デュポンのWallace Carothers がクロロプレンゴムを、IG Farben (1925年にBayer, BASF, Hoechst, Agfa 等8社が統合)のOtto Bayer がウレタンゴムを、GE社がシリコーンゴムを、戦前から戦中にかけて次々に開発していった。
第二次大戦後は1954年チーグラー・ナッタ触媒によって天然ゴムと同一構造のシスポリイソプレンの合成天然ゴム(イソプレンゴム)が完成した。
その後、EPDMやTPE(熱可塑性エラストマー)が開発されて現在に至っている。

ーーー

Bayerは2003年末までに、Bayer CropScienceBayer HealthcareBayer PolymersBayer Chemicalsの4社と、サービス会社3社の合計 7社を分社化したが、2004年7月にBayer Chemicalsの大半とBayer Polymersの一部を新会社 Lanxess として分離し、2005年に上場した。

RubberやRubber chemicals 事業はLanxess に移された。

2006/9/6 Bayer と Lanxess 

Lanxess は合成ゴムの世界トップメーカーである。(単位:千トン)

会社名 能力 製品
Lanxess 独、仏、ベルギー、米、加  1,043 ESBR, BR, EPDM, IIR, NBR, CR, SSBR
Goodyear   775 SSBR, BR, IR, ESBR
Kumho   713 ESBR, BR, NBR, SSBR, SBC
ExxonMobil 米、仏、英   592 EPDM, IIR
Polimeri 伊、英   553 EPDM, NBR, ESBR, BR, SSBR, SBC, SSBR
JSR   453 BR, IR, EPDM, NBR, SBC, ESBR
Petroflex ブラジル   401 SSBR, BR, NBR, ESBR, SBC
日本ゼオン 日、米、英   363 SBR, BR, IR, NBR 

 資料:日本ゼオン ファクトブック 2009 

Lanxess は2007年にブラジルのBraskem Unipar などからブラジルの合成ゴムメーカー Petroflex の株式の70%を購入、2008年に残りの株式についてTOBを行い、100%を買収した。

Lanxessは2008年2月、シンガポールに年産10万トンのブチルゴム生産拠点を新設すると発表した。2010年稼動の予定であった。

しかし、昨年12月にこれを2012年に延期したが、本年6月29日、需要の減少を受け、2014年稼動に再延期すると発表した。
この期間を利用し、製造技術の更なる改良を行う。

同社では計画の延期はあるが、アジア重視は変わらないとしており、将来的にブチルゴム事業の世界本部をシンガポールに置く方向でシンガポール開発庁と交渉をしている。

また同社は最近、韓国No.1のハンコックタイヤとの間でブチルゴムの5年間の供給契約を結んだ。SBRとポリブタジエンゴムに関しては既に2007年に同社と長期供給契約を締結している。


* 総合目次、項目別目次
 http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm にあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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