中国・EU 貿易戦争 勃発?

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欧州連合(EU)閣僚理事会は12月22日、欧州委員会の提案を可決し、中国とベトナム原産の革靴製品に対する反ダンピング税の課税期間をさらに15カ月間延長することを決定した。

EUは中国とベトナムの革靴が不当な安値で輸出されているとの理由から、2006年10月7日から中国製品 16.5%、ベトナム製品 10%のダンピング課税を行っている。
これを期限を過ぎた後の10年1月以降も15カ月間、延長することにした。

この措置は当初から極めて異常な、政治的なもので、今回の延長について中国は猛反発している。

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EU欧州委員会は2006年、中国・ベトナム製の革靴に対し、臨時反ダンピング税を課すよう提案した。最初は4%とし、段階的に引き上げて最後は 19.4%(ベトナム製は16.8%)に引き上げ、臨時措置の6カ月間にダンピングが解消されなかった場合は、正式な反ダンピング税の課税に踏み切るとした。

中国商務部はこの件について、特にEUが中国を非市場経済国待遇をしていることに猛烈に反発した。

WTO協定では「貿易の完全な又は実質的に完全な独占を設定している国ですべての国内価格が国家により定められているものからの輸入の場合には、規定の適用上比較可能の価格の決定が困難であり、また、このような場合には、輸入締約国にとって、このような国における国内価格との厳密な比較が必ずしも適当でないことを考慮する必要があることを認める。」と規定している。

「市場経済国」との認定を受けていない国の場合、ダンピング調査の際に、輸出価格は、国内価格との比較ではなく、経済発展レベルが近い代替国の価格と比較して判定される。EUは中国に市場経済国待遇を適用せず、しかも中国よりコスト水準の高い国を代替国に採用するケースが多く、この結果、ダンピングと判定される確率も高くなっているといわれている。

欧州連合(EU)は200610月、加盟国による投票を行い、中国・ベトナム産革靴に対する反ダンピング税徴収法案を僅差で可決した。
同法案に基づき、
10月7日から、中国製品には16.5%、ベトナム製品には10%の反ダンピング税が課された。期間は2年間。

同法案はフランスが提出したもので、投票結果は反対12、賛成9、棄権4。EUの規定では、提案を否決するには加盟国の過半数の票が必要で、棄権票は賛成票とみなされることから、同法案は1票差でかろうじて可決された。

欧州委員会は、十分な法的根拠と事実の裏付けを欠くとする内部の強い反対意見を踏まえて、最終的な反ダンピング措置の実施期間を通常の5年間から2年間に改め、2年後にはダンピング措置を終わらせなくてはならないとした。

2006/2/27  EU、中国・ベトナムの革靴に反ダンピング税

EUは2008年4月末にはアモイから輸入する皮靴も課税対象とし、中国企業がアモイを経由することで課税を免れる行為を封じた。

2年後の2008年10月にEUは再調査を開始し、11月19日に行われた同委の反ダンピング諮問委員会では、多くの加盟国の代表が、客観的な事実に基づいて反ダンピング措置の延長に反対を表明した。
しかし、EU閣僚理事会は
11月22日、欧州委員会の提案を可決し、中国とベトナムが原産の革靴製品に対する反ダンピング税の課税期間をさらに15カ月間延長することを決定した。

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<p><p><p><p><p><p><p><p>HTML clipboard</p></p></p></p></p></p></p></p>これの期限を迎える2009年10月、欧州委員会は中国とベトナム製革靴に対する反ダンピング関税を再度15か月延長することを提案した。

EUの反ダンピング委員会は11月19日、評決を行い、賛成10か国、反対15か国、棄権2か国で同案を否決した。

しかし、欧州委員会は反ダンピング委員会の否決にもかかわらず、閣僚会議で反ダンピング関税の延長を認めた。
欧州委員会の主張は以下の通り。

反ダンピング課税を取り止めると、ダンピングとそれによる被害が増大し、EUで26万人以上が従事する産業の構造調整を遅らせることとなる。
また、反ダンピング課税により需要家や流通業者に悪影響は出ていない。
消費者価格は安定しているし、流通業者の利益率も適正である。
このため、延長が妥当である。

しかし、最大5年の延長が可能なところ、15ヶ月の延長にとどめる。これは業界が構造調整するのに適当な期間である。

このように、反ダンピング委員会が延長に反対し、多数の参加国が延長に反対したのを、革靴業界を抱えるイタリアやフランスなどが延長を主張し、通したもので、EUが最終的に保護貿易主義の圧力に屈服したと見られている。

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これに対して、中国商務部の姚堅報道官は次のような談話を発表した。

中国側はこの決定に対して強い不満を抱いており、中国政府はEU側がいかなる形式でもこの案件において反ダンピング措置を延長することに反対する。今後はこの案件をめぐり世界貿易機関(WTO)の紛争解決制度に提訴するとともに、相応の措置を取って中国産業界の合法的な権利を着実に保護する方針だ。

EUの靴製品産業は長期にわたり割り当て制度によって保護され、これにここ数年の反ダンピング措置が加わったが、産業界は必要な構造調整をすでに終えている。

EUの業界は世界の供給チェーンの中で、徐々にミドル・ハイエンド市場へと足場を移しており、その製品は中国産製品と直接の競合関係にはなく、対中反ダンピング措置を継続することに意味はない。

我々はEUの輸入業者、小売業者、多くの加盟国が今回の反ダンピング措置の延長に反対していることに注目する。EU側が事実を尊重し、民意に従って、中国産革靴製品に対する反ダンピング措置を即刻停止することを願う。

保護貿易主義は相互の信頼関係を損なうばかりで、最終的には人を損ない、自身の利益をも損なうという結果を招くだけだ。

中国皮革工業協会のデータによると、反ダンピング課税によって、中国製革靴のEU向けの生産量が約20%減、輸出量が約4000万足減少しており、中国では約2万人の職が失われたとしている。

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中国商務部は12月23日、EUからのカーボンスチールファスナーに対するダンピング調査でクロの仮決定をしたと発表した。

本年初めに、EUは中国製スチールファスナーに対して5年間のダンピング課税(最高87%)を行った。中国は10月にWTOに提訴している。

米国もダンピング調査及び反補助金調査を開始した。

中国は生産量の50%を輸出しており、EUと米国の措置は中国メーカーに悪影響を与えた。

今回の決定はEUによる中国製革靴製品に対する反ダンピング税の課税期間延長の発表の数時間後に発表されたが、実際には昨年12月から調査しており、対象になるのが1社という小さなもので、対抗策ではなく、偶然の一致である。

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米国と中国の間では米国が中国品に対して反ダンピング措置を取ったのに対して中国が対抗策をとり、エスカレートしている。

参考 2009/11/9 米中 貿易戦争、更に激化

今後、中国が対抗策を取り、エスカレートするのが懸念される。

 


* 総合目次、項目別目次
    
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

  各記事の「その後」については、上記目次から入るバックナンバーに付記します。


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