三井化学、新規ブタジエン製造技術を開発

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三井化学は3月1日、エチレンからブタジエンを効率的に製造する新技術を開発したと発表した。

2つの新規触媒の開発に成功した。

新規エチレン二量化触媒
 (エチレン⇒ブテン)
固体触媒として世界で初めて高活性かつ長寿命を実現、
シンプルなプロセスにより、高い競争力を持つ。
新規脱水素触媒
 (ブテン⇒ブタジエン)
従来触媒に比べて高活性かつ高選択率を実現、高い競争力を持つ。        

同社では2012年を目途に工業化に対応した技術の確立を目指す。

同社はブテンとエチレンからプロピレンを製造する独自の高性能触媒を使用したメタセシス技術を保有しており、今回の技術とメタセシス技術の組み合わせで、エチレンからブタジエンおよびプロピレンを自在に製造することが可能となる。

三井化学は2004年秋にルーマスのOCT(Olefins Conversion Technology)14万トン設備を稼動している。
ブタジエンを含むクルードC4留分10万トンを水添したあとエチレン4万トンを加えて反応させ年間14万トンのプロピレンを得るもの。

このほか、三井化学は出光興産、住友化学と共同で、C4留分からイソブテンを反応により選択的に重合させることでクリーン燃料に転換し、残るノルマルブテンを濃縮製造してエチレンと触媒反応させることでプロピレンに転換する研究を行っている。

本年1月25日に三井化学市原工場で高効率プロピレン生産システムの実証運転を開始した。
プロピレン生産能力
年産15万トンで、研究開発費約100億円(負担比率:出光 50%、住友 25%、三井 25%)。

2008/2/18 出光興産、住友化 学、三井化学の3社、プロピレン生産システムの研究設備建設着工

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ブタジエンは、主に自動車タイヤ向けの合成ゴム原料として使用されるが、中国などのモータリゼーションの影響により、アジアを中心に高成長が見込まれている。

しかし、供給面では、今後中東ガスの天然ガスベースの安価な汎用エチレン誘導品の流入により、アジアのナフサクラッカーは減産となりブタジエンの生産も減少する。
(ブタジエンはナフサクラッカー由来で、天然ガスベースの場合は産出しない。)

このため、数年後にはアジア全体で100万トン以上のブタジエンが不足すると言われている。

日本経済新聞(3月26日)は「変貌する石化市場」特集でこの問題を取り上げている。
ブタジエンのアジアのスポット価格は現在、1トン2,000ドル超で、底値だった2009年初めから5倍に上昇した。この間、ナフサの上げ幅は2倍にとどまっている。
今後はブタジエン不足が現実味を帯びる。

三井化学では、今回同社が開発したこのエチレンからのブタジエン製造技術でブタジエンの需要増に対応すると共に、エチレンの高付加価値化により、国内ナフサクラッカーの競争力を強化するとしている。


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