三菱商事、カナダのシェールガス開発プロジェクトに参画

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三菱商事は8月24日、カナダの大手エネルギー会社Penn West Energy Trustが所有するブリティッシュ・コロンビア州のCordova堆積盆地のシェールガスを中心とした天然ガス開発プロジェクトに参画する契約を締結した。

コルドバ堆積盆地は北米シェールガス鉱区の中でも屈指の生産性と埋蔵量を有する。
Penn West Energy 、ここで最大の資産と知見を有している有望なパートナーで、2006年よりシェールガスの試掘作業を実施している。

三菱商事はPenn West Energy 当該鉱区のシェールガス資産、在来型天然ガス資産、関連する天然ガス処理・輸送設備の全50%を取得し、Penn West Energy との非法人合弁事業体を通じて、開発・生産を積極的に推進する。

取得費用は、既存資産の50%の取得対価約250 百万カナダドルに、今後の開発井掘削費のPenn West Energy 負担分の内の約200 百万カナダドル追加負担を加え、合計約450百万カナダドル(約362億円)となる。
今後15 年間で累計約 数百本~1,000 本以上の生産井を掘削して開発を進めるが、同期間を通じての三菱商事負担事業費は約3,000 億円程度を想定している。

対象鉱区のシェールガス資産は約5~8 兆立方フィート(LNG換算で約 1~1.6億トン)以上で、日本の天然ガス年間需要を大幅に上回る膨大な量の埋蔵量が見込まれる。

2014年に三菱商事持分で日量約5 億立方フィート(LNG 換算で約350万トン/年)の生産量を目指す。

三菱商事は今後50年以上の期間に亘り当該鉱区のシェールガス開発および生産を推進し、持分ガスを
CIMA Energyなどを通じて、北米市場で販売する。

三菱商事は2008年6月、米国でガスマーケティング事業を展開しているCIMA Energy Ltd持分34%を同社の個人パートナーから取得した。

CIMA Energy1996年設立で、米国内におけるガスおよび原油のマーケティング事業を行っており、年間のガス取扱高は約145百万MMBtu(LNG 換算280万t)となっている。

三菱商事は上流のガス田開発から、LNG液化プラントへの投資・操業、LNG船による輸送、LNG受入基地に至るまでLNG 事業のバリューチェーンを伸ばしてきたが、CIMA を通じて米国下流市場に参入、更なるバリューチェーンの延伸が達成された。

三菱商事は2009年1月より米国テキサス州のFreeport LNG 受入基地の使用を開始したが、同基地に持ち込むLNGを再気化した天然ガスについても、CIMA が米国内で販売を行う。

シェールガス開発プロジェクトの運営体制は以下の通り。
            三菱商事
              ↓100%
     Shale Gas Investment Cooperatief U.A.
              ↓100%
      Cordova Gas Resources Ltd.
              ↓ 50%
    Penn West Energy との非法人合弁事業体

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シェールガスは非在来型天然ガスの一種で、根源岩と呼ばれる泥土が堆積して固まったシェール(頁岩)層に閉じ込められている天然ガス。
採掘が難しく、これ迄開発が進んでいなかったが、近年の技術革新によって、開発が注目されるようになった。
日本の各商社や石油メジャーが相次いで進出している。

三井物産は、三井石油開発とのJVのMitsui E&P USA を通して、Anadarko Petroleum が米国ペンシルベニア州のMarcellus Shaleエリアにおいて開発・生産中のシェールガス事業に参画する。
Anadarko Petroleum が保有する権益の内、32.5%(全事業権益の約15.5%に相当)を約1,400 百万米ドルで譲り受けた。

     2010/2/18  三井物産、米国でシェールガス開発生産プロジェクトに参画

住友商事は、米国の独立系開発会社であるCarrizo Oil & Gasが米国テキサス州Barnett Shale fieldに保有している天然ガスコアエリア開発プロジェクトに12.5%参画した。

付記

住友商事は2010年9月1日、子会社Summit Discovery Resources II, LLCを通じ、米国の独立系石油ガス開発会社であるRex Energyが米国ペンシルベニア州マーセラス・シェール・フィールドで開発している天然ガス開発プロジェクトに参画する契約を締結したと発表した。

Rex社の既存資産プラス新規リース権の約30%を取得する。
取得資産の対価として契約締結時に約88百万ドル、2011年12月末までに追加で約 106百万ドル、合計194百万ドルを拠出する。

同社の持分ベースで総開発エリアは22,000エーカーで、生産量(ピーク) 46 bcf/年(原油換算 約8.4百万バレル)。
今後約10年間で累計1,100本以上の井戸を順次掘削していく計画で、総開発費用は約 1,200百万米ドルを見込む。

Rex Energy は米国の独立系石油・ガス開発会社で、2007年設立、同年よりマーセラス・シェール・フィールド開発に参入した。

ExxonMobil は、シェールガス、タイトガス、コールベッド・メタン、シェールオイルなど、合計換算 45兆立方フィートのガス資源を有し、Barnett, Fayetteville, Haynesville, Marcellusなど主要シェールガスの全てで開発を行っている XTO Energyを410億ドルで買収した。

シェルは、 Marcellus shaleを開発するEast Resources, Inc のほぼ全事業を買収する。

インドのReliance Industries、米国のAtlas Energy, Inc.との間で米国ペンシルベニア州のMarcellus Shaleエリアでのシェールガス開発でAtlasの権利の40%を取得した。

     2010/4/15  Reliacne IndustriesAtlas Energy と組んで Marcellus Shale を開発


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http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

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