韓国とボリビア、リチウム開発で覚書

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ボリビアのモラレス大統領が8月25日、2泊3日の予定で韓国を国賓訪問した。
日本や中国は訪問せず、韓国だけを訪問した。

訪韓初日の25日、大統領資源特使であるハンナラ党の李相得議員(李大統領の兄)と韓国鉱物公社社長、LG商事、ポスコ、大宇インターナショナル、SKエネルギー、GSカルテックス、LG化学、高麗亜鉛、三扶土建など国内企業の代表と夕食を一緒にした。すべてリチウム開発の関係者。

李相得議員は夕食会の席で、「韓国はボリビアからリチウムをただ持ってくるのではなく、そこで加工した後、輸入する計画であり、これを通して現地人の所得と雇用増大に寄与する」と述べた。

またモラレス大統領は訪韓中、LG化学研究所を訪問し、韓国の最先端リチウムイオン電池生産技術を見学する。

イ・ミョンバク大統領とモラレス大統領は26日、青瓦台(大統領府)で会談し、ボリビア西部のウユニ湖のリチウムを抽出するための研究を共同で行うことで一致し、両政府の間でリチウム抽出研究開発および事業化協力のための了解覚書を交わした。

モラレス大統領は、韓国企業のボリビアでの円滑な活動を支援するため、韓国企業関係者に5年の複数ビザを発給する一方、韓国との関係強化に向け駐韓ボリビア大使館を早期に開設する方針を明らかにした。あわせて、韓国政府に開発協力事業の拡大を要請した。

李大統領は、韓国政府が2014年までに2億5000万ドルの対外経済協力基金借款をボリビアに支援し、来年度の経済発展経験共有事業の対象国にボリビアを含める案を、積極的に検討する考えを示した。

両首脳は会談終了直後、韓国鉱物資源公社とボリビア鉱山公社の「ウユニ塩鉱山の蒸発資源産業化研究開発に関する了解覚書」締結式に立ち会った。

鉱物資源公社は昨年8月、ボリビア科学委員会および国営鉱業企業と了解覚書を締結し、ウユニ湖の塩水で炭酸リチウムを製造する技術を開発してきた。

2009/5/5 韓国鉱物資源公社、ボリビアでリチウム鉱開発へ

世界の埋蔵量の半分を保有するといわれるボリビアのリチウムをめぐり、日本やフランス、ブラジルなどが開発権の獲得を目指している。両国の覚書は、リチウムを抽出する権利を含むものではないが、韓国にとって一歩前進となる。

公社関係者は「今月末までに報告することになっている1次研究結果を基礎に商用化研究を進行し、事業性が確認されればボリビアでリチウム工場の設立を推進する予定」と説明した。

日本はすでに今年2月、1次報告書を出し、来月中に2次報告書を提出する予定。

モラレス大統領は韓国紙とのインタビューで下記のように述べた。

韓国がボリビアに建設した橋は、わが国で孤立していた地域を結 び、社会の統合に大きなプラスとなった。

わが国の大地にあるリチウムに対し、世界各国が関心を寄せている。韓国からはこれまで、鉱物資源公社や高麗亜鉛など多くの企業が資源開発に参加し、協力関係を維持してきた。複数の国が自然開発をめぐる提案を持ちかけているが、わたしは共に環境を守ることのできるパートナーを探している。

リチウム開発はまだ初期の段階だ。今年中に、ウユニ湖に試験工場を建設し、稼働させる計画だ。
本格的な開発のためには、技術面での研究が十分に行われなければならない。
その上で、積極的な投資やパー トナーシップが行われるだろう。

我々のもう一つの原則はクリーン技術を利用することだ。クリーン技術が私たちが目指す自然環境保護にも最も適した方式だと考える
韓国が提示した、環境を破壊せずに資源を開発できるグリーン成長や清浄技術のコンセプトが非常に気に入っている。

これまで、韓国の優れた技術力と情熱、努力を見てきた。これをもとに私たちが適切な決定をする。
特に銅と亜鉛の分野ではすでに韓国企業とパートナーシップを形成している。したがって経済協力分野で韓国に対する信頼はかなり高いと考えている。

仁川空港からソウルに向かう際、漢江にかかる多くの橋を見て、韓国の橋梁技術に驚いた。
また今回、2次電池工場や港湾施設も視察する予定だ。これらを通じて、韓国の発展ノウハウや技術を学びたい。

わが国にはリチウム、鉄鋼、亜鉛など豊富な資源があることは事実だ。
そのため植民地支配を受け、原住民は搾取と抑圧に苦しんできた。
先進的な技術を持った国はわが国との協力を望んでいるが、基本的にその開発はわが国の大地と自然を守る方向で行われなければならない。わが国の環境を守り貧困から救うことができるのであれば、左右のイデオロギーに関係なく対話に応じる考えだ。

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付記 9月7日の韓国中央日報が背景を書いている。

韓国がボリビア資源開発と縁を結んだのは2006年で、老朽化したコロコロ銅鉱山再開発をめぐり、中国企業との競合の末、韓国鉱物資源公社が事業を獲得した。契約を着実に履行、ボリビアが韓国に対して好感を抱き始めた。

ボリビアはウユニリチウム開発事業への韓国の参加を認めていなかった。李相得議員が大統領特使としてボリビアを訪問、ボリビアはこの時初めて、ウユニ塩水15,000リットルを韓国に譲ることを約束した。

しかしボリビアは塩水を渡さず、李特使はさらに2度もボリビアを訪問、ボリビアはついに今年2月、300リットルを、残り14,700リットルを4、5月に分けて送った。そして8月までに塩水からリチウムを抽出する実験の結果を提示するよう要求した。
「韓国が6カ月以内に実験結果を出せるだろうか」と半信半疑だったボリビア政府は、8月12日に韓国コンソーシアムが最初の実験結果を発表すると、驚きを表した。

韓国の追撃に焦った日本はモラレス大統領の日本訪問を推進したが、鳩山首相の退陣で訪日は白紙になった。
するとモラレス大統領は駐ボリビア韓国大使館を訪ね、韓国訪問の可能性を打診した。金洪洛大使は「韓国訪問で一段階進展した協定を結ぶのはどうか」とモラレス大統領を説得し、新たなMOUを引き出した。

日本が近いうちにモラレス大統領を日本に招待するとの噂がある。
日本はボリビア政府に対して、ウユニがあるポトシ州に地熱発電所を建設し、地下水を開発し、15の学校を設立する案を提示した。日本が物量攻勢で住民の不満を解消するということだ。


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http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htmにあります。

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コメント(1)

リチウム、ボリビアで検索して、こちらへたどり着きました。

2010年12月8日にウユニからリチウムを抽出するための研究開発についての覚書を結びましたね。
これでやっと韓国と同じになったということなのでしょうか?ニュースを追ってるわけではないので自分にはわかりませんが。

ボリビアは本当に南米一の最貧国で、先住民系に貧しさが集中しています。
だから、モラレス大統領の気持ちもわかります。

日本の今後の対応がどうなるのか、期待しています。

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