日本、イラン・アザデガン油田から撤退へ

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経済産業省と国際石油開発帝石はイランのアザデガン油田開発から撤退する方針を固めた。
(経済産業大臣は国際石油開発帝石の株式の29.4%を所有する最大株主)

イランへの制裁を強めている米政府がイラン制裁法の制裁対象企業リストにAzadegan 油田開発を手がける国際石油帝石を入れる可能性を伝えたという。

制裁対象企業リストに掲載された企業は、米国金融機関との取引が禁じられ、資金調達や決済で大きな支障が生じる。

付記

米国務省は9月30日、欧州系石油大手4社が米国の制裁回避のため、対イラン投資を停止することで合意したと発表した。
ShellTotal(仏)、Statoil(ノルウェー)、ENI(イタリア)の4社。

4社はエネルギー分野での新規投資を全て取り止める。

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アザデガン油田はイラン南西部の原油埋蔵量260億バレルといわれる世界有数の巨大油田。
2008年に部分的な生産が始まり、現在の生産量は日量45千バレル。今後、日量26万バレルの生産を計画している。

国際石油開発帝石(当時は国際石油開発)はAzadegan 油田の75%の開発権を有していた。

2006年、同社はイラン政府との間で、日本側の開発権の保有割合(出資比率)を大幅に引き下げることで合意、75%の開発権のうち65%分をイランの国営石油会社に譲渡し、日本の開発権は10%とした。

同油田はイランの核開発問題で着工が遅れていたが、米国に配慮する一方、懸念されていた全面撤退は避け、同油田からの原油輸入に道を残した。

2006/10/9 アザデガン油田の開発権引き下げでイランと合意

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米国会計検査院(GAO)は本年5月12日、上院の求めに応じて、イランのエネルギーセクター(石油、ガス、石油化学)で活動するとともに、米国政府とも契約を結んでいる海外41社の社名を発表した。

アザデガン油田に10%の権益を有する国際石油開発帝石がこれに含まれている。
(日本企業では他に、
アラク・シャザンド製油所拡張に関与している日揮が含まれている。)

LyondellBasell は、米国政府が近くイランとの取引禁止に従わない企業に対してペナルティを課すことを考慮し、イランでの活動を停止することを決めたことを明らかにした。

2010/8/27  LyondellBasell、イラン撤退を決定

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日本政府はイランの核問題に関する安全保障理事会決議1929号の履行に関し、93日、追加制裁を閣議了解した。
8月3日に既に閣議了解を行っているが、これに追加した。

エネルギー分野では以下を決めた。
 ・石油・ガス分野の新規投資に対しては、(3)の措置の実施で停止する。
 ・産業界に対して、決議第1929号の趣旨を周知し,イランとの取引について注意喚起
 ・石油・ガス分野事業者に対し、新規プロジェクトについて厳に慎重な対応を求める

イランとの取引の大半を占める原油については、エネルギー政策や経済への影響が大きいため、輸入規制を盛り込んでいない。

直嶋経済産業相は、Azadegan 油田権益に変化はないとの見通しを示していた。

2010/9/5 政府、対イラン追加制裁を閣議了解

 


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