BASFがロシアの South Stream 天然ガスパイプライン計画に参加

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BASFのエネルギー分野の子会社Wintershallはロシアの South Stream 天然ガスパイプライン計画に参加することで合意した。
328日にモスクワ郊外で行われた覚書の調印式にはロシアの Putin首相が参加した。

Wintershallパイプラインの海底部分に15%参加する。
黒海の海底にパイプを敷くもので、計画全体のコスト200250億ユーロのうち、100億ユーロ程度となり、BASFの負担は20
億ユーロ程度となる。  

付記

WintershallとElectricite de France SA が15%ずつ参加した。
当初は
GazpromとENIが均等出資で設立したが、この結果、ENIの出資比率は20%となった。

South Stream計画は、ロシアと中央アジアの天然ガスを黒海海底パイプライン(900km)でブルガリアまで運び、複数経路でイタリア、オーストリアに輸送するもの。

2008年にGazpromENIが均等出資でSouth Stream AGを設立した。
2015年の稼動を目指し、当初は年間310m3、最終630m3の天然ガスの輸送を計画している。
ブルガリア、ハンガリー、セルビア、ギリシャと政府間協定を締結済み。

BASFでは、これにより、今後伸びが期待され、同社の長期戦略の対象となっている欧州南東部の市場にアクセスできると述べている。

 


今回の合意は、BASFWintershallのロシアとの関係を更に深めるものとなる。

Wintershallは、ロシアのもう一つの欧州向けの天然ガスパイプライン、Nord Stream計画に参加している。

これは、サンクトペテルブルク北方のビポルクから独北東部グライフスバルトまで、バルト海海底約1200キロを結び、年間最大550億立方メートルのシベリアの天然ガスを供給するもの。ロシアにとって、西欧へのガス輸送にウクライナを経由しないで済むメリットがある。

Gazpromはウクライナ向けに日量110百万m3、ウクライナ経由欧州向けに326百万m3の天然ガスを送っている。
2009年には天然ガス代金の支払い等の問題で、Gazprom がウクライナへの天然ガス供給を完全に停止した。

   2009/1/2 ロシア、ウクライナ向け天然ガス供給停止

20059月、Gazpromとドイツの電力会社E.On、及びWintershall3社が契約文書に調印した。
Gazprom 51%Eon 24.5%BASF子会社Wintershall 24.5%の出資であったが、20086月に、オランダのNederlandse GasunieE.OnWintershallから4.5%ずつを取得した。
現在の出資比率は、
Gazprom 51%Eon 20%Wintershall 20%Gasunie 9%となっている。

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South Stream計画は、EUが計画しているNabuccoパイプライン計画と競合するもの。
Nabuccoパイプライン計画は、ロシアのガス依存を減らすため、カスピ海地域からブルガリア、ルーマニア、ハンガリー等を通って中欧にガスを運ぶものだが、現時点ではまだ、ガス供給者も、投資者も決まっていない。

 

参考  2010/9/22 カスピ海の天然ガス、黒海経由で輸出へ


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