米国で3件目のiPS特許成立、iPS研究の現状

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京都大学iPS細胞研究所(CiRA:The Center for iPS Cell Research and Application)は5月14日、山中伸弥教授らのグループによるiPS細胞の製造方法と分化誘導方法に関する特許が、3月6日に米国で成立した と発表した。これは京都大学が米国で保有する3件目のiPS細胞関連特許となる。

今回成立した特許(8,129,187)は、4つの遺伝子(Oct3/4, Klf4, Sox2, c-Myc)または3つの遺伝子(Oct3/4, Klf4, Sox2)を、レトロウイルスベクターで皮膚細胞などの体細胞に導入し、iPS細胞を作製し分化誘導をする、分化細胞の作製方法に関するもので、上記の方法で作製された分化細胞を使用し、販売する行為にも特許権利範囲に含まれ る。特許の有効期限は2026年12月。

新しい薬を開発するために研究開発を上記の方法を用いて行う企業は、この特許のライセンス許諾を受けることが必要になる。

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京大は2011年8月11日、山中伸弥教授らが開発した新型万能細胞(iPS細胞)の作製技術に関する特許(特許番号8,048,999)が米国で成立したと発表した。

権利範囲は、① Octファミリー遺伝子、Klfファミリー遺伝子及びMycファミリー遺伝子を含む初期化因子、② Octファミリー遺伝子、Klfファミリー遺伝子及びサイトカインを含む初期化因子、となっている。
該当する初期化因子の組み合わせを使ってiPS細胞を作製する行為にまで及ぶ。
体細胞に遺伝子を導入するためのベクターの種類は問わない。
遺伝子の「ファミリー」という範囲をカバーしているので、例えば、「Myc」ファミリーであれば、c-MycもL-Mycも含まれる。(CiRA iPS細胞基本情報から)

2011/8/15  京大のiPS細胞特許、米で成立

京大は2011年11月24日、iPS細胞に関する特許について、4つの遺伝子を用いてiPS細胞を作製する方法に関する米国特許(特許番号8,058,065)が11月15日に成立したと発表した。

体細胞(例えば皮膚細胞)に、レトロウイルスベクターで4つの遺伝子を導入する工程によりiPS細胞を製造する方法に関するもので、特許法の規定により、この方法で製造されたiPS細胞の使用(iPS細胞の販売やiPS細胞を用いた分化誘導)にもその権利が及ぶ。(CiRA iPS細胞基本情報から)

京大は2011年2月1日、米国のiPierian Inc.から同社保有のiPS細胞特許「バイエル特許」(米国などの特許出願を含む)を譲り受けたと発表した。
世界各国に出願された特許(全部で30件程度)が譲渡の対象となり、この中には、2010年2月10日に英国で成立した「3遺伝子とbFGFによるiPS細胞の作製方法」に関する特許も含まれる。

バイエル薬品神戸リサーチセンターの研究チーム(桜田一洋センター長ほか)が山中教授らが2006年8月にマウスiPS細胞の作成を発表した直後から、ヒトでの研究を始め、山中教授らのチームより早く、ヒトの「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を作成し、バイエルは2007年6月15日付けで国内で特許を出願した。

独Bayerは2008年にこの特許を iPierianの前身であるiZumi Bioに譲渡した。

2011/2/3  京都大学、米社からiPS細胞関連特許を譲り受け


山中伸弥教授は5月17日、日本経済新聞の電子版2周年フォーラムで講演した。

その中で、最近の研究における特許対策や規制対応の重要性を強調、米国特許取得について、CiRAでは8人の特許専門家が研究会議にも出席して研究内容をフォローし、米国の特許弁護士とも常時連絡をとった結果であると述べた。

CiRAの運営費の大半は競争的資金を始めとする数年間の期間の研究資金で、多くの研究員、研究支援員が有期契約での採用であり、特許専門家も全員が有期契約となっている。

今後、新しい資金の確保で出来なければ、これらの人の雇用を続けられないという状況にある。

CiRAでは「iPS細胞研究基金」への支援のお願いをしている。

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山中教授はフォーラムで、iPS細胞による再生医療について「2020年まで全力疾走で研究を進め、新しい医学を確立させたい」と語った。iPS細胞をタイプ別に準備する「iPS細胞ストック」の構築事業に今年から取り組む方針も明らかにした。

2010年4月1日のCiRA設立時に4つの「達成目標」をつくった。内容と現状は以下の通り。

基盤技術確立、知財確保(現時点での達成は60%)

24か国で特許成立

②再生用ストックの構築(同 30%)

iPS作成には1人当たり1千万円程度がかかり、作製に半年が必要で急場の間に合わない。

このため、厳重に品質管理されたiPS細胞ストックを構築する。

拒絶反応対策のため、HLAホモドナーのiPSを抹消血、臍帯血から作成し、ストックする。

HLA型は父母ごとに何百種(合わせて何万)もあり、全てのストックは無理だが、HLAホモドナー(父母が同型)のものは、片方が同じなら使用できる。
日本では1名のドナーで全体の20%75名のドナーで80%をカバーできる。

付記 2012/7/26 「iPS細胞ストック構築」で赤十字と提携

再生医療臨床試験(同 20%)

神経細胞(パーキンソン病)、網膜・角膜(眼病)、心筋(心臓病)、神経幹(脊髄損傷)、血小板(血液病)など。下線はCiRAで実施。

④治療薬開発(同 20%)

病気モデル、治療薬開発
毒性、副作用の評価

 


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