電気自動車のバッテリー、1分で急速充電:蔚山科技大が開発

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韓国の教育科学技術部は8月13日、リチウム2次電池の急速充電・放電技術を韓国研究陣が開発したと明らかにした。

同部によると、蔚山科学技術大学・親環境エネルギー工学部のProf. Jaephil Choの研究チームが、炭素でコーティングされた単結晶ナノ粒子のクラスターを電極物質として利用することで、充電時間は短く、出力は高いリチウム2次電池を開発することに成功した。

充電時間は市販の電池に比べ1/30から1/120に短縮され、平常時の300倍に達する電流を流すことで、わずか6秒で容量の50%を放電させられる高出力を備える。
研究陣は、1分ほどの短時間で充電できる電気自動車用電池の開発などに応用できるものと期待を寄せている。

研究結果をまとめた論文は、応用化学分野で権威の高いドイツの学術誌 Angewandte Chemie国際版(2012/8/2)に掲載された。

Carbon-Coated Single-Crystal LiMn2O4 Nanoparticle Clusters as Cathode Material for High-Energy and High-Power Lithium-Ion Batteries
   http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/anie.201203581/abstract

リチウム2次電池では、電池を充電すると、正極の中のリチウムイオンが引き抜かれ、電解液中を移動して負極に吸収される。
逆に、放電すると、負極からリチウムイオンが放出され、正極に入る。

陽極材料にはリチウム、マンガン、酸素から成る大きさ10マイクロメートルの粉末を使用する。
粉末を小さくすれば、粒子数が増えるため、充電速度が速まる。しかし、粒子を小さくすると、粒子の密度が低くなり、電池の容量低下を招く欠点があった。

研究陣はリチウムバッテリーの陽極の粉末粒子をこれまでの1/500の20ナノメートルまで小さくした上で、スクロース(ショ糖)溶液を加えて加熱することで、問題を解決した。  

ナノ粒子は凝結して、マイクロメートル級の粒子のように変化し、既存のバッテリー並みの容量を確保できるようになった。また、ショ糖が焼けて生じた成分が粒子の表面をコーティングし、導電効率も高まった。

Cho教授は「GMのVoltなどに使われる既存のバッテリーは充電に最低2時間かかる。急速充電が可能なナノ粉末は2年程度あれば量産が可能だ」と説明した。



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