「シェールガス革命」の父、George P. Mitchell

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8月25日の日本経済新聞はGeorge P. Mitchell  とのインタビュー記事を載せている。

シェールガス、次は中国 豊かな埋蔵量強み
 「革命」の立役者に聞く 環境汚染、ルール作り急務

 Mitchell Energy and Developmentの創業者George P. Mitchell  (93歳) の発言は以下の通り。

「革命の第2幕」の舞台として、推定埋蔵量が米国を上回る中国に注目している。

日本にはシェール層はほとんどないようだが、中国が国内にある巨大なシェールガス田の開発に成功すれば、エネルギーの需給が変わる。日本にも恩恵があるはずだ。

Mitchell Energyがテキサス州北部のBarnett shale の開発に着手して間もない1988年5月、大慶市石油行政局の地質学者3人と技術者1人が来訪した。ミーティングは5時間に及び、中国側はBarnett shale の開発状況について熱心に聞いてきた。
米国内ですら、ほとんど注目されていなかったにもかかわらず、わざわざ訪ねてきた中国人の嗅覚に誰もが驚いた。

(米国でのシェールガス開発が地下水の汚染など環境への負荷を指摘されていることについて)
一部の荒くれ者のために、この国が十分な天然ガスを手に入れる機会をフイにすべきではない。
問題を起こす業者には厳罰で対処すべきだ。
政府と業界でルール作りを急ぐべきだ。

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George P. Mitchell は他社が続々撤退する中、20年にわたる努力の末に、初めてシェールガスの開発に成功した「シェールガス革命」の父である。

米国ではシェールオイル、ガスの存在は古くから知られていた。

1919年には石油枯渇説に対し、「1年以内に石油はシェールに置き換わるだろう」の予測 さえ出された。

しかし、技術的な困難性から開発は行われなかった。

George P. Mitchell はMitchell Energy & Development を設立、テキサスで天然ガスを掘削し、パイプラインでシカゴ地区に供給していた。

しかし、天然ガスの埋蔵量が減少し、新規のガス田取得も難しく、このままでは契約を守ることが不可能になった。 

このため、1980年代初めからテキサスの Dallas とFort Worth 近辺のBarnett shale の開発に着手した。
当時、税法Sec 29で非従来型天然ガスの開発には税額控除の制度があり、これを利用した。

他にも多くの企業が参加したが、次々に撤退した。

Mitchell Energyは1998年末にフラッキング(水圧破砕)技術 を開発、その結果、生産量が増大した。

George P. Mitchell は、今後の開発に多額の資金が必要なこと、他の事業があることから 、この事業の売却を検討、2002年にLarry NicholsのDevon Energyに35億ドルで売却した。

Devon Energyはフラッキング技術と自社技術の水平掘削技術を合わせ、技術を完成させた。

ソース:Daniel Yergin    "The Quest" 

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U.S. Energy Information Administrationのレポート World Shale Gas Resources (2011/4/5) によると、中国のシェールガス推定埋蔵量は1275兆立方フィートで、米国(862兆立方フィート)を上回り、世界最大となっている。

技術的回収可能埋蔵量 (兆立方フィート)

China  1,275
United States 862
Argentina  774
Mexico 681
South Africa 485
Australia  396
Canada  388
Libya  290
Algeria  231
Brazil  226
Poland 187
France  180
   
32か国合計  6,622

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