2012年 Ig Nobel 賞に日本人の「スピーチジャマー」

| コメント(0) | トラックバック(0)

2012年の Ig Nobel 賞の授賞式が9月20日、米マサチューセッツ州ケンブリッジのハーバード大で行われた。

迷惑を顧みず話し続ける人の話を妨害する装置「スピーチジャマー(SpeechJammer)」を開発した、産業技術総合研究所研究員の栗原一貴氏と科学技術振興機構研究員の塚田浩二氏の2人が「音響賞」を受賞した。

スピーチジャマーは、話し続ける人に対して、その人の音声をわずかな時間をおいて送り返す仕組み。そうすると、発話者はうまく話すことができなくなるという。

スピーチジャマー」は妨害を意味する英語のjam と日本語の「邪魔」を掛けた。

話している人の声をマイクで拾い、約0.2秒後に指向性スピーカーで声を本人に送り返す仕組み。
普段、声は出すのと同時に自分にも聞こえるが、少し遅れて聞こえるようにすると、なぜかうまく話せなくなることが分かっており、この現象を応用した。
スピーカーからの声は最大で約30メートルまで届くという。

日本人はこれまで、2005年までに11件、2007-2011年に1件ずつ計5件、合計16件の研究でイグ・ノーベル賞を受賞している。

2006/10/13 ノーベル賞とイグ・ノーベル賞
2007/10/8  2007年イグ・ノーベル賞
2008/10/4  2008年イグ・ノーベル賞
2009/10/3 
2009年イグ・ノーベル賞
2010/10/7  2010年ノーベル化学賞とイグ・ノーベル賞
2011/10/1  2011年度イグノーベル賞 

日本人の受賞はこれで17件となる。

本年の各賞の受賞者とその内容は以下のとおり。

心理学賞 Anita Eerland and Rolf Zwaan (蘭)and Tulio Guadalupe (ペルー、露、蘭)
体を左に傾けるとエッフェル塔がより小さく見える。「姿勢評価調査」("Posture-Modulated Estimation.")
論文:http://pss.sagepub.com/content/early/2011/11/23/0956797611420731.abstract 
平和賞 The SKN Company(露)
古い弾薬を人造ダイヤモンドに転換する技術
ホームページでの説明:http://www.skn-nd.ru/history_en.html
音響学賞
 
栗原一貴、塚田浩二
SpeechJammerの開発
論文:http://arxiv.org/abs/1202.6106

日本語論文:http://www.wiss.org/WISS2010Proceedings/PDF/P14.pdf
神経科学 Craig Bennett, Abigail Baird, Michael Miller, and George Wolford (米) 
脳科学者は複雑な器具と簡単な統計を使って、どこででも脳の活動を理解できることを実証
(死んだ鮭にMRIスキャナーを当て、テスト)
論文:http://prefrontal.org/files/posters/Bennett-Salmon-2009.pdf
化学賞 Johan Pettersson(スウェーデン)
スウェーデンのAnderslövという町のいくつかの家で、髪の毛が緑色になる理由を解明
論文:http://www.thelocal.se/37994/20111217/
文学賞 US Government General Accountability Office,
報告書:"Actions Needed to Evaluate the Impact of Efforts to Estimate Costs of Reports and Studies"
物理学賞 Joseph Keller (米), and Raymond Goldstein (米、英), Patrick Warren, and Robin Ball (英)
女性の髪形のポニーテールの動きとバランスを計算した研究
論文:http://epubs.siam.org/doi/abs/10.1137/090760477
流体力学賞 Rouslan Krechetnikov (米、露、加)and Hans Mayer (米)
「コーヒーを飲みながら歩くと、何故こぼれるのか?」 液体スロッシング現象の力学の研究
スロッシング現象は揺れの周期によって波が大きくなる現象)
論文:http://pre.aps.org/abstract/PRE/v85/i4/e046117
生体構造賞 Frans de Waal (蘭、米)and Jennifer Pokorny (米)
チンパンジーは自分達の後頭部の写真から、他のチンパンジーを個別に見分けることが出来ることの発見
論文:http://www.emory.edu/LIVING_LINKS/pdf_attachments/FacesBehinds2008.pdf
医学賞 Emmanuel Ben-Soussan and Michel Antonietti (仏)
大腸内視鏡検査で患者を怒らせない方法
論文:http://www.wjgnet.com/1007-9327/13/5295.pdf



トラックバック(0)

トラックバックURL: https://blog.knak.jp/knak-mt/mt-tb.cgi/1955

コメントする

月別 アーカイブ