中国アルミ、モンゴルの石炭大手の買収を断念

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中国国有大手のAluminum Corp. of China (Chalco) 中国アルミは9月3日、モンゴル石炭大手SouthGobi Resources の買収を断念すると発表した。

SouthGobi ResourcesはモンゴルのOvoot Tolgoi炭鉱を運営しており、そのSouthGobi Resources(カナダで上場)にはカナダのTurquoise Hill Resources が57.6%を出資している。

Turquoise Hill Resources は旧称 Ivanhoe Mines で、2012年8月2日付で改称した。

Rio Tintoが51%を出資する。

Rio Tinto は2009年106日、モンゴル政府との間でモンゴル南部のOyu Tolgoi 銅・金鉱山開発のための投資契約を締結した。

Rio2006年にIvanhoe9.9%を出資したが、モンゴル政府との投資契約締結後に19.7%とし、更に固定株価で43.1%まで、またその後は時価で最終46.65%まで増やす権利を持った。

その後、2012年1月に49%から51%に増やした。

なお、現地で開発を担当するIvanhoe Mines Mongoliaモンゴル政府が34%出資している。

2009/11/28 Rio Tinto、モンゴルの鉱山開発で中国アルミと提携か?

Chalco は本年4月、Ivanhoeに対しSouthGobi の60%を1株当たり C$8.48で買収する提案を行った。
Ivanhoeが持株全部を売れば、898百万米ドルとなる。

Chalco は主力のアルミ精錬が売価ダウンと燃料コストアップで赤字に転落したことから、多角化を図った。

しかし、モンゴル政府は本年5月、外国企業がモンゴルの主要戦略資産の49%以上を取得する場合、国会の承認を必要とするとの法律を通した。

この結果、近い将来に必要な認可を得られる可能性はなくなり、Chalcoは買収を諦めた。

モンゴルをはじめ世界各国では、中国が資源買い占めに走っていることへ警戒が高まっている。

日本経済新聞では、モンゴルは(中国・ロシアに次ぐ)「第三の隣国」と位置付ける日本や欧米との関係強化を進めると見るが、「日米欧企業の投資が増えないまま中国からの投資が減れば、モンゴルの経済成長に悪影響を及ぼす」との見方も紹介している。

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中国国有石炭大手の神華集団によるTavan Tolgoi 炭鉱の開発参画も、権益保有比率が当初素案の40%から低下する可能性がある。

モンゴル政府はタバントルゴイ石炭地を2ゾーンに分けた。
1ゾーンは国際会社が、2ゾーンはモンゴル国営エルデネスタバントルゴイ会社が掘削する。国営エルデネスタバントルゴイ会社の株式のうち50%を政府、残りの50%を投資家やモンゴル国民が保有する。

2011年7月、国際会社の入札結果として、
 中国神華エナジー(三井物産が加わるとの情報もあり)40%、
 米国のPeabody Energy24%、
 残りの36%は
国営ロシア鉄道韓国の国策資源開発のKorea Resources の連合
    (伊藤忠、住友商事、丸紅、双日の4商社が加わるとの情報もあり)

と発表された。

神華エナジーはモンゴル国境まで鉄道をつなぎ、Oyu Tolgoi と Tavan Tolgoi の石炭と銅を中国に運ぶ計画のコンソーシアムの中心となっている。

三井物産は2010年9月、神華集団と、世界の炭鉱開発や石炭貿易の拡大などで提携することで合意した。
提携の柱の一つが
Tavan Tolgoi 炭鉱への共同応札となる。

2010/9/15  三井物産、神華集団と包括的業務提携

しかし、直後にこれは仮であるとされた。

2012年5月には、外国企業がモンゴルの主要戦略資産の49%以上を取得する場合、国会の承認を必要とするとの法律を通した。

モンゴル工業相は、「2012年の末までに共同開発の新たな枠組みをまとめたい」としている。

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Turquoise Hill Resources (Ivanhoe Mines) はモンゴルのOyu Tolgoi 銅・金鉱山、Ovoot Tolgoi 炭鉱のほかに、豪州Queensland Cloncurry 酸化鉄・銅・金プロジェクト、カザフスタンのBakyrchik Gold Project などを手掛けている。

同社は2008年、中国のJinshan Gold Minesの権益(全体の42%)を中国黄金集団(CNGC)に譲渡した。
Jinshan Gold Minesは、内モンゴル自治区において2007年から金鉱山の操業を開始しており、現在120oz(3.7t)/年に向け増産体制を整えている。

中国黄金集団は1979年に設立された政府系企業で、Ivanhoe Minesは同社との間で長期的な戦略パートナーシップを目指している。今後、共同で中国での金、銅の探鉱、鉱山開発に集中していく。

Turquoise Hill Resources (Ivanhoe Mines) の活動地域は以下の通り。

 

 

 

 

 

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