三菱商事、インドネシアで地熱発電の運営・開発に参画

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三菱商事は10月17日、再生可能エネルギー事業の拡大を目指し、インドネシアのジャワ島で2000年以来、安定して商業運転を続けているWayang Windu 地熱発電所等の運営を統括するStar Energy Geothermal Pte Ltd.の株式20%を取得すると発表した。

2億ドル強を出資する。出資スキームは下図の通り。


Wayang Windu 地熱発電所は、約13,000ヘクタールの契約鉱区を有し、現在23万キロワットが稼働中。
2017年までに発電規模を42万キロワットとする。
増設計画が実現した場合の本発電所の総事業費は約10億ドル程度と見込まれる。

Wayang Windu 地熱発電所は ジャワ島西ジャワ州バンドン市郊外の広大な茶畑の中にある。

既設は23万キロワットで、1号機11万キロワットが2000年6月に、2号機12万キロワットが2009年3月に稼動した。今後3号機・4号機の増設を検討中。
インドネシア電力公社に30年間にわたり全量を売電する長期契約を締結済み。

既存の発電所を拡張しながら新たな電源開発も進め、2020年までに計70万キロワット強の発電容量を目指す。
現在、Halmahera島で2基の新設のFSを実施中。

インドネシアは高い電力需要の伸びが見込まれており、世界最大級の約 2,900万キロワットの推定資源量を活用すべく、地熱発電の開発に注力する方針で、同国では今後2020年までに、総計約600万キロワットにも上る新規地熱発電案件の開発が計画されている。
 
三菱商事では、これまで培ってきた電力事業の経験と、今後習得していくWayang Windu 地熱発電所の運営ノウハウを活かしつつ、インドネシア政府が推進する地熱開発計画の実現に貢献するとともに、日本を初めとする他の有望な地熱資源を保有する国においても、地熱発電事業に取り組んでいくとしている。

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Star Energy はSupramu Santosaにより設立された。

2007年にBarito Pacificのオーナーで合板王と呼ばれる彭雲鵬 (Prajogo Pangestu) がStar Energy Investmentを設立して、Star Energyの71%を3億ドルで取得した。残りの29%はロンドンのAshmore Investmentが取得した。

彭雲鵬はStar Energy Investmentの60%を保有し、事業パートナーのAgus Prajosasmito が残りの40%を保有している。

Wayang Windu 地熱発電所のほか、石油・ガスの開発を行っている。
(三菱商事は地熱発電事業のみに参加する)

Kakap PSC では石油・ガス田の開発を行っており、日量8,000バレルの石油、60百万立方フィートの天然ガスを生産している。

他の3プロジェクト、Bayumas、Sebatik、Sekayu は開発段階。
Star EnergyはSebatik油田の権益の75%を持ち、オペレーターとなっている。

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彭雲鵬はインドネシアの石油化学会社 Chandra Asri の大株主。

Chandra Asri は当初、Barito groupが75%日本インドネシア石油化学投資(丸紅 85%、昭和電工 10%、TEC 5%)が25%出資で設立された。

2005年に日本側は撤退、その後、株主が次々に代わった。

2011年9月にタイのSiam Cement Group がChandra Asriの株式30%を取得、経営に参画 した。
Barito Pacificの出資比率は64.8%で最大株主となっている。

PT Chandra Asriは2007年に豊田通商からスチレンモノマー製造・販売の PT.Styrindo Mono Indonesia を買収し、2011年1月1日付でPPメーカーの PT Tri Polyta Indonesiaを統合し、新社名PT. Chandra Asri Petrochemical Tbk.として上場した。

2011/6/8  Chandra Asri の増設計画

 



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