EU、スペイン銀行再編計画を承認、395億ユーロ支援

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ユーロ圏17か国は12月3日の財務相会合で、スペインの銀行を支援するため、同国政府に対し 395億ユーロの支援を実施することを決めた。欧州委員会が11月28日にスペインの銀行再編計画を承認したのを受けたもの。

ユーロ圏は6月にスペインの銀行支援として最大1000億ユーロの支援を行うことを決め、支援条件として、スペインに中央銀行改革、金融監督の強化を指示した。

今回はその第一弾で、スペイン政府は支援資金を活用し、国内の銀行に公的資金を注入する。
他のスペインの銀行については、12月20日に決定するという。

今回の支援対象となる銀行は、既にスペインの銀行再編基金 FROB (Fund for Orderly Bank Restructuring) の管理下に入っている4銀行。

Bankia   181億ユーロ
Catalunya Banc   90億ユーロ
Novagalicia Banco   54億ユーロ
Banco de Valencia   45億ユーロ
(小計)   370億ユーロ
Sareb   25億ユーロ
(合計)   395億ユーロ

Sarebは金融機関から不良資産を買い取る「バッドバンク」

4行のうち規模が最も小さいBanco de Valenciaは売却され、スペイン3位のBank La Caixa と統合される。
他の3行は今後5年間でバランスシートを6割以上圧縮する必要がある。

これらの銀行の債券保有者も損失を負担することになるという。

4行のなかで規模が最も大きいBankiaは、全従業員の約4分の1に相当する6,000人を超える人員削減を行い、支店数を約39%削減し、2013年までに収支を黒字化させる。

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ユーロ圏は6月にスペインの銀行支援として最大1000億ユーロの支援を行うことを決めたが、銀行への直接注入は「銀行監督機能の一元化」の達成が条件 となった。

欧州首脳会議は6月の会合で銀行監督一元化の導入を決め、10月の首脳会議で、ユーロ圏の銀行を一括して欧州中央銀行(ECB)が監督する銀行監督一元化を2013年から段階的に導入することで合意した。

EU財務相理事会は12月4日、ECBによる銀行監督一元化を柱とする銀行同盟構想について協議したが、合意は得られなかった。

ECBの権限をめぐり仏独が激しく対立している。

ドイツは銀行監督の最終権限をECB理事会に委ねるべきではないとし、大半の銀行を各国当局の監督下に置かなければ、合意は得られないと主張した。
「銀行監督と金融政策との間にチャイニーズウォールが絶対的に必要」とし、ECBが銀行監督を兼務することに懐疑的な見方を示した。

これに対しフランスは、ECBを銀行監督の中心に据えるべきと反論した。

ユーロ圏外のスウェーデンは、フィンランドに大半の銀行が存在しており、ECBが自国の銀行資産を監督することになれば、ECB内で相応の発言権を得なければならないと懸念を示している。

今後ユーロ導入を目指すポーランドやハンガリーといった国も、ECBが銀行に対するより強力な権限を持つことで不利益とならないよう保証を得ようとしている。

当面はスペイン政府を通じて融資することとなる。



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