EUとシンガポール、FTA締結で合意

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EUとシンガポールは12月16日、自由貿易協定 (FTA) 締結で合意したと発表した。
EUにとってはアジアでは2011年7月発効の韓国に次ぐ2番目のFTAとなる。

EUはシンガポールからの全ての輸入品を5年間でゼロにする。協定発効時に関税品目の80%の品目の関税を撤廃する。
シンガポール通産省(Ministry of Trade and Industry)は、特にシンガポールのエレクトロニクス、医薬、化学品、加工食品の輸出業者は関税撤廃で恩恵を受けるとしている。

シンガポールはEUからの輸入品全てについて直ちに関税撤廃する。
EU当局者によると、FTA締結によって、シンガポールがEUの基準を受け入れることから、自動車の重複検査など非関税障壁が取り除かれることになる。

これに加え、シンガポールの銀行・金融サービスセクターや政府調達市場が一段と開放される。

EUにとってシンガポールは世界で13番目の貿易相手で、ASEAN各国では最大の取引相手で、2009年から2011年で財とサービスの取引は40%増加している。 (EUの貿易黒字の大部分は自動車輸出)

EU加盟各国は2009年12月に、欧州委員会にASEANの個別国とFTA締結に向けた交渉を開始する許可を与えた。

それまでは、FTA交渉を地域ベースで進める方針をとっていたが、十分な進展が見られなかったことから、個々の加盟国と個別に交渉を開始する方針に切り替え た。

第一歩として2010年3月に最も重要な貿易パートナーであるシンガポールとの交渉を開始した。

シンガポールのほかに、現在、マレーシアとベトナムと交渉を行っている。
EUは現在も、EU-ASEAN FTA (region-to-region agreement) を長期目標としている。

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シンガポールはこれまでに18のFTAを締結している。

1993/1  ASEAN
2001/1  New Zealand
2002/11  Japan
2003/1  (EFTA) Swiss、Liechtenstein、Norway、Iceland
2003/7  Australia
2004/1  USA
2005/7  China 〔ASEANとして〕 (サービスは2007/7)
2005/8  Jordan
2005/8  India
2008/3  S. Korea
2006/5  (TPSEP) Brunei、Chile、New Zealand
2006/7  Panama
2007/6  Korea〔ASEANとして〕(財のみ)
2009/1  China
2009/1  Japan〔ASEANとして〕
2009/8  Peru
2010/1  India〔ASEANとして〕
2010/1  Australia-New Zealand 〔ASEANとして〕


TPSEP(環太平洋戦略的経済連携協定)はSingaporeとNew Zealandの自由貿易協定にチリとブルネイを加えたもので、一定期間に例外品目なしで関税100%自由化を目指すなど、「質の高いFTA」と言われる。
その後、TPP (Trans Pacific Partnership)と改称され、現在拡大交渉が行われている。

 

 

 


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