Dow Chemical の独禁法違反裁判、始まる

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Kansas Cityの連邦裁判所で1月16日、Dow Chemical の独禁法違反裁判が始まった。

問題の製品はPolyether Polyol 製品で、酸化プロピレン系のポリエーテルポリオール、MDI、TDI、MDI-TDIブレンドなど。
1999年~2003年の市場が危機的な状況の際に、Dow Chemical、Bayer、BASF、Huntsman、Lyondellの各社が価格カルテルを結んだとして米国の需要家が集団訴訟を行った。

これに対して、Bayerは2006年に、違法行為はなかったとしながらも、和解し、55百万ドルを支払った。
2011年に、Huntsmanは同様に和解し、33百万ドルを、BASFも同様に51百万ドルを支払った。
破産処理中のLyondellも和解した。
各社はいずれも違法行為はなかったとしている。

Dow Chemicalだけが、違法行為はなかったとし、和解に応じなかった。

Dowは裁判開始に当たり、裁判所に対し、和解に応じた各社がいずれも違法行為はなかったとしていることを理由に、事実審理を省略する略式裁判で訴えを棄却することを要請した。

しかし裁判所は2012年12月18日、これを却下した。
裁判長は、原告側は陪審員が違法行為があったと考えるのに十分な直接的及び間接的証拠を提出しているとした。

直接的証拠には、価格協定を行ったとするDowの従業員の証言や、これを確認する競争相手の従業員の証言が含まれる。さらにいくつかの状況証拠もこの証言を裏付けているとしている。

裁判長は、これらの会議が別の理由による合法的な会議であるとのDowの主張を否定した。

裁判は6~7週間かかると見られている。

原告側は被害額は10億ドルを超えるとみており、Dowが敗訴した場合、懲罰賠償で30億ドルを超える賠償額になる可能性がある。

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よく分からないのは、第一に、原告側が被害額は10億ドル以上といいながら、何故、少額で各社と和解したのかということである。
Lyondellの和解額は分からないが、4社合計で2億ドル以下と思われる。

第二に、他社がこの程度で和解したのであれば、何故、Dowは和解しなかったのであろうか。
各社と同様、違法行為はないが長期間の裁判を避けるためとして和解すれば、なんら問題は起きなかったと思われる。





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