中国のジニ係数

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中国国家統計局は1月18日の記者会見で、2003年から12年までのジニ係数(Gini coefficient:基尼系数)を発表した。

それによると、ジニ係数は2008年に急上昇して0.491ポイントとなったが、12年は0.474ポイントに低下した。

ジニ係数は不平等度を測定する尺度。

係数の範囲は0から1で、0に近いほど所得分配が平等である(格差が小さい)ことを示し、1に近いほど所得分配が不平等である(格差が大きい)ことを示す。

下の図で、ジニ係数は 面積①/(面積①+②)で表される。
①の面積が小さいほど、ジニ係数は小さく、所得分配が平等である。

ジニ係数 計算例


OECDの2000年代央の加盟各国の対比は以下の通りで、平均は0.31となっている。

OECD30か国で最も高いのがメキシコ(0.47)、次がトルコ(0.43)、ポルトガル(0.42)となっており、4番目が米国(0.38)となっている。
逆に低いのは、デンマーク(0.23)、スウェーデン、ルクセンブルグ、オーストリアの順。

日本は0.32で平均並み。

中国は所得の不平等度の悪さで(低下した現状でも)メキシコと肩を並べる。

 OECD諸国はmid-2000s     資料:OECD Factbook 2010
    中国は2012年 0.474


人民日報は、中国は今、所得分配における格差の問題をしっかりと見据え、しっかりと解決するべき時にきている とし、以下のように報じている。

ここ数年来、中央政府から地方政府まで、所得分配における格差を縮小するためにさまざまな取り組みを行ってきた。医療保険や社会保険の制度を整え、国有資本の収益に対する税率を引き上げ、国民生活への投資を年を追って拡大してきた。こうした国民を豊かにするための一連の力強い措置によって、ジニ係数の上昇傾向をくい止めることができた。だが所得分配の格差の問題はかなり複雑なもので、実践を通じて「下を引き上げ、中を増やし、上を抑える」ための取り組みをさらに進めなければならない。

現実に起こっている問題から、所得分配の格差のめぐって、今、次のような難しい問題を抱えていることがわかる。
「下を引き上げ」ようとしても上位法によって法的な支持を行うことができず、「中を増や」そうとしても税制度が整備されておらず、「上を抑え」ようとしても政策措置が整っていない、という問題だ。

所得分配制度の改革を深化させ、国民の所得分配の状況を調整し、給与制度を改革し、所得分配の秩序を規範化し、発展の成果をより多くより公平に国民全体に行き渡らせる必要があるのだ。

現在、先進国のジニ係数は0.24ポイントから0.36ポイントの間に収まるのが一般的で、「中所得のわな」に陥った経済体は0.5ポイント前後をうろうろしている。過去の失敗例をみて、われわれはトラブルへの警戒の意識と問題意識をより強くもち、積極的な態度と慎重な政策で問題を深く探り、解決していかなければならない。

しかし、中国の今回の発表数値でさえ、低すぎるとの批判が出ている。

2012年12月に西南財經大學は、2010年の中国のジニ係数は0.61と発表した。

上海の中欧国際工商学院の許小年教授は1月18日、発表されたジニ係数について「偽りの数字だ」とコメントし、実際の格差はさらに大きいとの見方を示した。



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