ユーロ圏、預金課税を条件にキプロス支援を決定

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ユーロ圏財務相会合は3月16日、財政危機に陥るキプロスに対して、銀行預金への課税(「預金税」)という前例のない措置を盛り込んだ100億ユーロ規模の救済計画に合意した。 支援は国際通貨基金(IMF)も参加する。

預金口座からの徴税分は直ちに凍結された。3月18日は祝日で銀行が休業となる予定で、キプロス議会は臨時に開会して17日に課税法案を通し、19日の営業再開前に税金として徴収する。

キプロスは昨年6月に支援を申請したが、交渉が難航していた。
アイルランド、ポルトガル、ギリシャ、スペインに続く5か国目の支援となる。

支援金はギリシャの債務危機で損害を受けたキプロスの銀行への資本増強に充てる。
必要とされる支援は170億ユーロとみられていたが、今回、100億ユーロの支援を決めた。残りは「預金税」で賄う。

10万ユーロ以上の預金に9.9%の課税、10万ユーロ未満の銀行預金には6.75%の課税を実施する。(1回限り)
徴税額は58億ユーロにも達すると見られている。

キプロスの銀行資産はGDPの約8倍もあり、そのうち約37%が外国人と見られており、多くは国外のロシア人で、脱税に使われているともされる。
預金課税には支援でこうした預金者を一方的に救うことにならないようにする狙いがあるとみられる。

財務省会合議長は課税について、「キプロスの金融の安定に資することになり、全預金者に貢献を求めることは当然と思われる」と述べた。

キプロスの法人税も10%から12.5%に引き上げられる。

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Moody'sは2012年10月にキプロスの国債格付けを「Ba3」から「B3」に3段階引き下げたが、本年1月10日に更に「B3」から「Caa3」に3段階引き下げた。

キプロスの銀行部門で国内やギリシャ向け融資の返済遅延が増えており、「資本増強の必要が高まっている」と指摘。キプロス政府の債務不履行リスクも増大したとした。

 


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