中国のSuntech Power、倒産の危機

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世界最大の太陽光発電モデュールメーカーSuntech Power(尚德太陽能電力有限公司)が倒産の危機に瀕している。
無錫市政府の持株会社である
無錫国聯発展集団が株式を取得し、事業再編を主導する計画との噂が流れている。

同社は今週末に541百万ドルの転換社債の返還を控えているが、資金繰りに困っている。

付記

中国江蘇省無錫市の中級人民法院は3月20日、「破産法」の関連規定に基づき、Suntech Powerの破産・再編手続きを決定した。
3月15日に償還日を迎えた転換社債541百万ドルが債務不履行(デフォルト) となり、2月末で合計71億元(約1,065億円)の貸出残を持つ中国工商銀行、中国農業銀行、中国銀行など9行が申請した。

今後は地元当局主導による再建が図られる見通し。

同社は2008年に欧州で太陽光発電プロジェクトを行うGlobal Solar Fundに80%出資(他にSuntech CEOの施正栄が10%出資)し、製品を供給し、保証も行ってきたが、昨年7月、これらの担保として受け取っていたドイツ国債560百万ユーロが偽物であることが分かったと発表した。Global Solar Fundの10%を所有し、会社の運営に当たっていたJavier Romeroに騙されたとされる。

この結果、事業の不振が続く中で資金が急速に減少した。

同社の取締役会は先週初めにCEOの施正栄会長から会長職を奪うとともに、会社と会長の取引関係を調べるよう命じた。

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同社は3月12日にアリゾナ州Goodyear市の工場を閉鎖すると発表した。
同工場では中国から輸入した太陽光発電セルをアルミ枠にはめ、配電盤を設置して、 "Buy American" 基準に合致する太陽光発電パネルとしている。

過当競争で製品価格が大幅に下落するなか、米国政府は昨年11月に中国製の太陽電池及びモデュールに反ダンピング関税と相殺関税を課すことを決定、Suntechは合計で35.97%の課税となり、同工場は、主材料の大幅コストアップで操業継続が困難になった。
同工場は2010年10月に生産を開始、2011年の生産は50メガワットであったが、昨年11月には年率15メガワットにまで減っていた。

2012/11/14 太陽光パネルを巡る貿易戦争

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Suntechの創設者でCEOの施正栄(Shi  Zhengrong )は豪州のニューサウスウェールズ大学の太陽光発電工学最先端技術センターの薄膜太陽電池研究グループの上位研究担当科学者及びリーダーを務めた後、2001年9月にSuntech Powerを設立した。2005年にはNew York証券取引所に上場した。

同社では2011年に3つの世界No.1に輝くとしている。

年間生産量 2.2GW (2008年から結晶系モデュール年間生産量4年間連続世界一) 

年間出荷量 2.1GW (2010年、2011年と2年連続で太陽光発電モデュール出荷量世界No.1)

累積設置量 7.0GW (2011年10月に世界で初めて累積5GWを達成、2012年8月に7GWに達した)

 


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