オバマ大統領、予算教書を議会に提出

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オバマ米大統領は4月10日、3兆7700億ドル規模の2014会計年度(2013年10月─2014年9月)の予算教書を議会に提出した。

富裕層に対する増税や社会保障費の抑制などを通して、財政赤字を10年かけて1兆8000億ドル削減する。
これまでの2兆5000億ドルの赤字削減に加えると、削減規模は4兆3000億ドルになる。

大統領は、赤字削減のため民主、共和両党の妥協が必要であるとし、両党に聖域(Sacred cow)はあってはならないと述べた。
今回の提案には大統領としては通常なら提案しない年金の物価調整方式の変更も折り込んでいる。

ただ、当局者によると、大統領は共和党が増税に合意した場合にのみ、これを含む一連の歳出削減を受け入れるとしている。

10年間での1兆8000億ドルの赤字削減案の概要は以下の通り。

富裕層への増税 5800億ドル  
メディケアコスト削減 4000億ドル 医療提供者への支払い削減
高所得の受給者の自己負担額増
制度改革 2000億ドル 農家補助削減、連邦退職金改革など
経費削減 2000億ドル 防衛費とそれ以外を同額
年金改正 2300億ドル COLA (cost-of-living adjustment:物価調整)で連鎖CPI採用
借入金金利減 2100億ドル  

上記のうち、特に注目されるのは次の2項目。

1)富裕層への増税

大統領はこれまで、年収25万ドル超の世帯への増税を目指していたが、今回は盛り込まなかった。
しかし、年収100万ドル超の富裕層に最低30%の税率を課すBuffet ruleを打ち出した。

Warren Buffetは2011年8月、自分の税率が「秘書の税率よりも低い」として米国の税制は不公平となっているとの見解を表明した。これを受け、オバマ大統領は、高所得層向け増税提案を「Buffet rule」と呼んだ。

また、慈善事業への寄付金控除や、地方債の利子への減税など一部の控除に制限を設ける方針もあらためて提案した。

投資ファンドの幹部が受け取るキャリード・インタレスト(成功報酬)への税控除の廃止やたばこ税の引き上げ、税金のかからない個人退職勘定に対する上限設定も提案した。

法人税では企業の海外利益に対する課税強化やエネルギー税控除の縮小、社用ジェット機に対する税額控除廃止を提案。

一方で、小規模な新興企業への税控除の倍増、R&D費用に対する控除の延長、法人税率の最高税率の引き下げ(35%から28%)も提案。

2)年金改正

Social Security 給付額はCOLA (cost-of-living adjustment)のシステムでCPI(消費者物価指数)の増減に合わせ調整されている。

これを通常のCPIから「連鎖CPI:Chained CPI」に変更する。

通常のCPIではウェイトと価格指数の基準が基準年で固定されているのに対し、連鎖式ではそれらが毎年更新される。

牛肉価格が豚肉よりも急ピッチで上昇した場合、消費者は牛肉の購入を控え、豚肉の消費を拡大するといった行動を取り、物価の上昇の影響を軽減する。このような物価変動に対する消費行動の変化を考慮するもの。

日本でも「消費構造の変化に迅速に対応することができる」として2007年から参考指数として公表している。

米政府が「連鎖CPI」のデータ発表を開始した2002年以降、CPIに比べ、連鎖CPIの上昇ペースは約0.3-0.4%ポイント低くなっている。

COLAを通常のCPIではなく、連鎖CPIに変更することにより、給付金は減額される。

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民主党と共和党の主張は全く異なっており、この問題は簡単には解決しない。

2013年2月に、米国の国債発行の法定上限を暫定的に引き上げる法案が成立しているが、5月半ばにはこれの期限が切れる。

参考 2013/3/25 米議会が暫定予算可決 




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