東洋紡、スペインの診断薬・診断機器メーカーを買収

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東洋紡は7月31日、スペインに拠点を置く診断薬・診断機器メーカーでグローバルに販売網を持つSpinreact,S.A.の全株式を取得した。
米国の
Health Management企業のAlere Inc.(旧称 Inverness Medical Innovations, Inc)から取得した。

Spinreact,S.A.は1975年設立で、2005年に英国の診断会社Cozart に買収された。
Cozart は2007年に欧州の薬物検査企業のConcateno PLC に買収され、そのConcateno PLCは2009年に Inverness Medical Innovations, Incに買収され、現在に至っている。

東洋紡は「環境、ライフサイエンス、高機能で、社会に貢献する価値を創りつづけるカテゴリー・リーダー」を目指しており、診断薬や診断システムなどのバイオ分野を注力する分野の一つとしている。

この分野は今後、新興国を中心に年率10%以上の拡大が予想され、海外企業とのアライアンスやM&Aの検討を行ってきた。

Spinreactはスペインをはじめ、アフリカ・中南米・欧州・アジアなど、世界90カ国に代理店を有し、新興国市場に合わせた診断薬関連製品などを豊富にそろえている。
買収を通じ、バイオ分野の海外拡大戦略をより一層加速させる。

買収の狙いは3つで、当初は両社の販売網を活用して既存事業の拡大を図り、将来は両社のバイオ技術を融合して新製品の開発、新市場の開拓を推進する。

1)Spinreactの世界的販売網の活用
   東洋紡の尿検査システム、遺伝子検査システムの販売にスピンリアクト社の販売網を活用

2)製品ラインアップの拡充
   Spinreactの生化学診断薬、免疫診断薬、血清学的診断薬などを東洋紡の中国・東南アジアの販売網で展開

3)欧州での生産拠点の獲得
   東洋紡のバイオ製品の海外展開でSpinreactの欧州生産拠点を活用

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東洋紡のライフサイエンス事業は、診断薬用酵素等のバイオ製品、医薬品、医用膜、医療機器と、海水淡水化用などのアクア膜等を扱っている。

売上高は少ないが、営業利益での貢献は大きい。

東洋紡は1941年、レーヨンの原料であるパルプの自給を目的としてパルプ事業を開始したが、戦時中に中断した。
戦後の1948年に再開、環境汚染対策として、酵母培養によるパルプ廃液処理の研究を開始した。
これがバイオ事業進出のきっかけとなった。

1972年に尿酸測定用診断薬を発売し、バイオ事業に進出、1975年には食品用途での酵素の研究・開発から、診断薬市場にバイオ事業の重点を置く方針を固めた。

その後、1982年に遺伝子工学用酵素の研究開発を開始、ライフサイエンス試薬(制限酵素)を開発した。

機能膜については、1979年に中空糸膜による逆浸透の原理を利用した海水淡水化装置の心臓部となるモジュールを開発、1989年にはサウジアラビアで世界最大の海水淡水化プラントの操業を開始している。
医療用では、1981年に人工腎臓用中空糸膜を開発した。

 


 

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