中国当局、輸入車などの独占価格調査を開始

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中国の自動車流通協会 (CADA) の羅磊副事務局長はこのほど、中国国家発展改革委員会(NDRC)の依頼を受け、国内で販売される全ての外国車の価格情報を集めていることを明らかにした。

彼によると、NDRCは自動車メーカーが中国のディーラーに最低卸価格を決めていないかどうかを調査している。
最低価格設定は独禁法違反となる。

CADAでは輸入車と中国でのJVでの生産車の全てのブランドについて調査をしており、輸入車の価格と海外での価格に大きな差があるとしている。

中国では輸入車には25%の関税がかかり、17%の増価税と消費税がかかる。

消費税は2008年9月の税率調整で排気量の大きな自動車に対し、大幅に引上げられた。

排気量1リットル以下   1% 3%
・ 同1.0~1.5リットル   3%  
1.5~2リットル   5%  
・ 同2.0~2.5リットル   9%  
・ 同2.5~3.0リットル    12%  
・ 同3.0~4.0リットル   25% 15%
・ 同4.0リットル以上   40% 20%

CADAではこれは認識しており、税金によるコスト差は問題にしていない。

新華社は先月末の社説で、外国の自動車メーカーは輸入車販売で膨大な利益を上げており、独禁法違反の調査をするべきだと報道した。
輸入車のなかには海外市場の2倍で売っているものもあるとし、例としてAudiとBMWを挙げている。

8月1日付の人民網日本語版は「高すぎる中国の輸入車 最大の原因は関税にあらず」との記事で、BMWのX5 xDrive 35i を例に分析し、輸入車が高いのは高関税のためという説を否定している。

海外市場販売価格 47,500ドル(約291,175元

CIF価格を33万元と仮定すると、関税 25%、消費税 12% (2,979cc)、増価税 17%で、税金合計が約22万元、これにディーラーの検査費用や保管費などの経費が加わり、コストは57万元となる。

これが中国国内で最高101万元で販売されている。
CIF価格は不明だが、44万元の利益が外国メーカーと国内ディーラーで分けられている。

この分析に対し、業界では、CIF価格はもっと安く(海外販売価格の29万元より安い筈)、利益はもっと高いと指摘する。
中国人消費者の海外有名ブランドに対する崇拝が、価格ををつり上げているとしている。

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中国政府は最近、価格独占の摘発に注力している。

国家発展改革委員会(NDRC)は8月7日、粉ミルクを巡る競争阻害や卸売業者に対する最低販売価格の制限などで、6社に合計約109百万ドルの罰金を課した。

2013/8/9   中国で販売価格を巡る2つの独禁法違反事件 


NDRCは医薬品の価格設定システムを改善するため、GlaxoSmithKline、Merck、Novartis、Baxter Internationalを含む国内外60社の製薬会社のコストと価格を調査している。

NDRCとは別に、工商総局(SAIC)が8月15日、医薬品・医療サービス業界に蔓延している賄賂の調査(3か月)を開始した。

産業界における賄賂は、人為的に価格を上げるだけでなく、フェアな競争を妨げるとし、医薬品、医療サービスの価格交渉時での賄賂を厳しく処罰するとしている。

中国における独禁法の担当は以下の通り。

国家発展改革委員会(NDRC) 価格独占行為の調査・処分
商務部 事業者集中行為
工商総局(SAIC) 独占協定、市場支配的地位の濫用、
行政権力を濫用した競争の排除、制限

関連記事 2013/7/18   中国、GlaxoSmithKline を贈賄の疑いで捜査


NDRCは8月13日、豫園商城の子会社2社や上海老鳳、その他、上海の宝飾店5社と上海黃金飾品行業協會に、金とプラチナの宝飾品の価格カルテルで罰金を課した。

罰金額は、5社には昨年の売上高の1%の合計1009万元、協会に50万元、合計1059万元(約170万ドル)となっている。




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