Rio Tinto、住友金属鉱山等とのJVの豪州の銅・金鉱山を中国企業に売却

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Rio Tintoは7月29日、豪州のNorthparkes鉱山の権益 80% を中国のChina Molybdenum(洛陽欒川鉬業集団)に820百万米ドルで売却する契約を結んだと発表した。

同社では、同鉱山は成功しているが、充分な規模ではなく、同社戦略に合わないとしている。

Northparkes鉱山の残りの権益は、住友金属鉱山(13.3%)と住友商事(6.7%)が保有して いる。
両社が
JV契約で先買権を持っており、これを放棄するかどうかによる。
関係筋によると、2社が残りの80%全部を取得する見込みは薄いという。

China Molybdenumはモリブデンやタングステン鉱を生産しており、2012年10月に上海で新規上場した。銅の生産に参入するのはこれが初めて。

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Rio Tintoは戦略に合わない事業の売却を進めている。

2012年12月に同社は南アで銅山を運営しているPalabora Mining Company の持株(57.7%)を373百万米ドルで売却する契約を締結した。
売却先は南アのIndustrial Development Corporationと中国の河北鋼鉄集団が率いるコンソーシアム。

Palabora Mining の他の株主のAnglo American も持株16.8%を同じ相手に売却する。残りは一般株主が所有。

全ての手続きが完了しており、7月31日に成立する。

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Rio Tinto は6月12日、ミシガン州のUpper PeninsulaにあるEagle ニッケル鉱山を、カナダに本社を持ち、ポルトガル、スウェーデン、スペインで銅、亜鉛、鉛、ニッケルなどを採掘するLundin Miningに325百万ドルで売却する契約を締結した。

 

Rio Tintoは2007年にBHP Billitonから買収提案を受けたが、2007年11月の企業戦略を説明する投資家向けセミナーで、Northparkes銅・金鉱山を含む資産売却リストを公表した。

2007/11/15 BHP Billiton Rio Tinto に買収提案

2008/11/27 BHP BillitonRio Tinto 買収を断念

本年6月初めには、Rio TintoはNorthparkes鉱山の売却に向け、月内の最終入札を計画しており、豪州のOZ Mineralsと中国の五砿資源が応札するのではと報道された。
China Molybdenumの名はこれまでに出ておらず、意外な結果と見られている。

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Northparks鉱山は豪州のSydneyの西方約300kmにある銅鉱山で金を随伴する。
Rio Tintoの100%子会社のNorthminingが鉱区を所有している。

当初、1993年7月に住友金属鉱山と住友商事がNorth Broken Hill PecoとJV契約を締結し、1994年に操業を開始した。
North Broken Hill Peco(1995年にNorth Ltd. に改称)は2008年8月にRio Tintoに吸収合併された。

2006年12月に212百万豪ドルを投じて新たな鉱床開発を決めた。
これにより、鉱山寿命を2009年から2016年まで7年間延長されるとしていた。

2016年以降については、増強計画を検討中で、本年にプレFSを作成し、2016年にフル生産を目指すとしている。
(一時は2008年6月以降の銅価格下落や世界的経済不況により、山命延長を断念している。)

既存の3鉱体の地下と新規の1鉱体の開発により生産規模を拡大する。

  現状 2016年
選鉱能力 580万トン 3000万トン
生産銅量 38千トン 150千トン

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住友金属鉱山は2013年2月、2012年中期経営計画「世界の非鉄リーダー&日本のエクセレントカンパニーをめざして」を発表した。

ターゲットとして、銅権益 30万トン、ニッケル 15万トン、金 30トンとしている。


海外資源獲得のうち、①自社探鉱は相当な時間を要するとし、②開発案件への参加は他社との競合が問題としている。
残る③既存鉱山については、権益比率拡大は困難で、増産しかないが、増産案件は少ないとしている。

本件は、権益比率を大幅に拡大し、かつ増産計画があるものだが、住友金属鉱山はこれまで取得の意向を示していない。


参考  2011/5/21 住友金属鉱山、チリの銅鉱山開発に参加






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