東燃ゼネラル、三井石油を買収へ

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日本経済新聞は9月19日、石油元売り4位の東燃ゼネラル石油が2014年中に三井物産子会社で同7位の三井石油を買収する方針を固めたと報じた。

買収額は400億~500億円となる見通しで、売上高で業界3位のコスモ石油と並ぶ規模となる。
 
系列ガソリンスタンド 約3450カ所を約3700カ所に増やす。
東燃ゼネは三井石油と折半出資する石油精製専業の極東石油工業も傘下におさめる。
三井物産は三井石油株売却で得る資金でExxonMobil から東燃ゼネラル株約10%を譲り受け、エクソンに次ぐ2位株主となる。
ExxonMobilは、日本市場の回復が見込めないため、出資比率の引き下げを検討していた。
三井物産は石油元売り事業から事実上撤退。
海外の石油・天然ガス開発への収益シフトを進める一方、東燃ゼネラルの株主となって同社の海外事業展開に協力する。

 * 三井物産は三井石油の株を89.93%保有。他の株主は、三井住友銀行、三井住友信託銀行、商船三井、三井造船など。

石油業界の再編は2010年に新日本石油と新日鉱ホールディングスが統合し、JXホールディングスが誕生して以来 となる。

石油業界再編

第1波 1985 昭和シェル石油発足
     1986 コスモ石油発足

第2波 1999 日本石油と三菱石油が合併、日石三菱に
     2000 東燃とゼネラル石油が合併、東燃ゼネラル石油に
     2002 エッソ石油とモービル石油が合併、エクソンモービルに

第3波 2007 アブダビ首長国の投資機関がコスモ石油筆頭株主に
     2008 新日石が九州石油を吸収合併     

第4波 2010 新日石と新日鉱が統合、JXホールディングス誕生

東燃ゼネラル石油は同日、以下の発表を行った。

当社は本年2月に中期経営計画で発表しましたように、国内のサプライチェーンを強化するために他社との協業を積極的に模索すべくさまざまな検討を行っていますが、その詳細に関しまして現段階で申し上げられることはありません。

同社は中期経営計画のなかで、成長戦略として以下を挙げている。

株主価値を向上させる成長分野への展開を図る

 他社との提携・協業
   ・新たな提携分野の検討
   ・他社との協業による国内サプライチェーンの強化

 コアビジネスに関連したエネルギー事業
   ・当社の強みを生かしたエネルギー分野への展開

 海外マーケット
   ・成長が見込めるマーケットへの展開を検討
   ・エクソンモービルとの関係を生かした海外展開の検討

ーーー

東燃ゼネラル石油は2012年1月、ExxonMobilからエクソンモービル有限会社の持分の99%を2012年6月に取得すると発表した。

ExxonMobil はエクソンモービルを通じて東燃ゼネラル株式の50.5%を保有しているが、22%分を自ら保有する。
残りはエクソンモービル所有のままだが、東燃ゼネラルの子会社となるため、議決権はなくなる。
(この結果、ExxonMobil 50.5%、一般株主 49.5%が、ExxonMobil 22%、一般株主 78%となった。)

東燃ゼネラル/エクソンモービルは今後、Exxon Mobilと一定の資本関係を維持しつつ新たな提携関係に移行し、製販一体経営を実現する。

東燃ゼネラルはエクソンモービル持分の99%を 取得する結果、極東石油工業の50%株主となる。

従来の体制



今後の体制
    その後、エクソンモービルはEMGマーケティングに改称した。

2012/1/30 ExxonMobilが東燃ゼネラル石油から実質撤退

 

今回の買収が成功すれば、下記の通りとなる。


なお、東燃ゼネラルは87.5%(住友商事が12.5%)出資していた南西石油株式を2008年4月にPetroBrasに売却した。
(その後、住友商事も売却)


エネルギー供給構造高度化法による各社別の削減義務量と現時点での削減計画は以下の通り。(万bbl/d)

  トッパー
処理能力
改善達成
のための
トッパー
能力
トッパー
能力削減
義務量
トッパー能力削減計画
和シェル石油グループ 51.5 44.8 6.7 12.0  京浜・扇町 2011/9停止
JXグループ 179.22 137.9 41.4 58.0  
出光興産 64.0 55.7 8.3 12.0  徳山製油所 2014/3停止
コスモ石油 63.5 43.8 19.7 14.0  坂出製油所 2013/7閉鎖
東燃ゼネラル石油 66.1 45.6 20.5 10.5  分解能力 +3.45で基準充足
極東石油工業 17.5 15.2 2.3    
太陽石油 12.0 10.4 1.6    
富士石油 19.2 14.8 4.4 5.2  第1常圧蒸留装置 2010/11廃棄
合計 473.02 368.2 104.9  111.7  


製油所とトッパー処理能力は下記の通り。(万bbl/d)

東燃ゼネラル石油

 

川崎 33.5
15.6
和歌山 17
合計 66.1
極東石油工業 千葉 17.5

 

 

参考 石油元売会社の再編の流れ

JX日鉱日石エネルギー 石油便覧 から
  http://www.noe.jx-group.co.jp/binran/part02/chapter08/pdf/2-8-2-1-01.pdf

キグナス石油は1972年に日本漁網船具(現ニチモウ)から石油部門が分離独立し、東燃の資本参加を得て、新発足した。
2004年12月、東燃ゼネラル石油およびニチモウは両社が保有するキグナス株式全部を三愛石油に譲渡し、三愛石油の全額出資子会社となった。
製品は東燃ゼネラル石油から供給されている。

 


 

 

 

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