第一三共のRanbaxy、原体製造工場も問題か?

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第一三共は1月14日、連結子会社のインドのRanbaxy Laboratoriesが、原薬工場であるToansa工場(Punjab州)に関して、米国FDAによる査察の結果、何らかの問題があることを指摘する Form483 を受理したと発表した。

現在、Ranbaxyは指摘された内容を精査中で、FDAに対し問題解決に必要な手順に則った適切な回答をするとしている。

FDAが施設の査察を行った結果は施設査察報告書 (EIR :Establishment Inspection Report)で報告され、指摘事項は 「Form 483」に記載されて企業に提示される。

「Form 483」を受け取った企業は、指摘事項に対する回答をFDAへ提出する。

「Form 483」に対する企業側の対応が不十分である場合、FDAは Warning Letter(警告書) を企業へ送付する。

Ranbaxyは下記の事情で米国へのインドからの製剤輸出が出来ない状況にある。

Ranbaxyは米国ニュージャージー州に製剤子会社 Ohm Laboratories を持っており(1995年取得)、現在、米国向け後発薬はToansa工場の原体をここで製剤している。

もし、Toansa工場からの輸出が禁止された場合、これも出来なくなる。

なお、Ohm Laboratories は、2012年12月の監査についてのEstablishment Inspection ReportをFDAから2013年10月に受領したが、FDAはここについては問題なしとしている。


付記

米国FDAは1 月23 日付で、Toansa工場で製造された原薬を医薬品用に製造および流通させることを禁止する旨発表した。

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第一三共は2008年6月11日、インドのジェネリック医薬品大手 Ranbaxy Laboratories 及び創業家一族との間で、同社の議決権総数の50.1%以上を取得する契約を締結したと発表、11月7日にRanbaxy株の63.9%を取得したと発表した

株式買収中の2008年9月16日、米国FDAはRanbaxyの医薬品30種以上の輸入を一時停止した。

医薬品の安全性に問題はないが、ランバクシーのインドのDewasPaonta Sahib にある2つの工場で、製造器具の洗浄状況、生産管理、品質管理などに関する記録の保存に関して問題が改善されていないためとしている。

また、FDAが1月から3月にかけて問題の2工場を査察した際、抗生物質の取り扱い方法にも問題が発見されたという。

2009/1/8 第一三共、ランバクシーの評価損計上

Ranbaxy Laboratoriesは2011年11月に、高コレステロール血症治療剤アトルバスタチン(Atorvastatin ) 「リピトール」の後発薬を米国で発売した。
同社は当初、
インドでの原体生産を検討していたが、米国への輸入が認められていないため、Teva Pharmaceuticalに原体の生産を委託せざるを得なかった。

第一三共は2011年12月に、Ranbaxy Laboratoriesが米国FDAと同意協定書を締結したと発表した。

Ranbaxyは、データの信頼性を確実にするための手段や方針を更に強化し、現行の適正製造基準を遵守することを確約した。

また、これまでの行為に対し、5億ドルの罰金支払いで米国司法省と和解した。

2011/12/28 ランバクシー、米FDAと同意協定書締結

FDAは2013年9月、Ranbaxyのインドのパンジャブ州のMohali 工場で生産された医薬品の輸入を差し止めるという輸入警告(import alert)を発表した。

FDAは2012年の9月と12月のMohali工場の検査で、製造上の問題点を適切に調査しなかった、品質確保のために適切な手順を作らなかった等の、重大なCGMP違反を発見した。

FDAはまた、2012年1月のRanbaxyの終局的差止の同意にMohali工場を含めることを命じた。
この結果、Mohali工場での医薬品製造の方法、設備、管理がCGMPに従って確立、運営、管理されるまでの間は、Mohali 工場でFDA承認医薬品の製造や、同工場から米国に医薬品を輸出することを禁止される。

Ranbaxyは2012年4月、高コレステロール血症治療剤アトルバスタチンカルシウム錠(アトルバスタチン錠:PfizerのLipitorの後発品) を「最先端技術を結集した」Mohali経済特区の工場から米国向けの輸出を開始したことを発表したが、これが出来なくなった。

2013/9/21  米FDA、第一三共子会社Ranbaxyに再び輸入差し止め 

 

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