資生堂、毛髪再生医療の中核「資生堂細胞加工培養センター」を開設

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資生堂は4月22日、毛髪再生医療の事業化に向け、研究開発の中核となる「資生堂細胞加工培養センター」を5月1日に神戸・ポートアイランドの神戸医療産業都市に開設すると発表した。


神戸医療産業都市は、国が産業育成地域に指定した関西イノベーション国際戦略特区の拠点のひとつで、生命・医療科学に関する日本最大級の集積地区。

資生堂の細胞加工培養センターは、神戸バイオメディカル創造センター(BMA)のCPC棟に入る。

CPC棟は、GMP基準に基づいた医薬品等を研究開発・生産するために必要な、品質と人体への安全性を確保するための指針に則った施設で、ヒト細胞等を安全に処理するための無菌培養室や細胞の品質保証をするための検査室が設置可能な独立区画型の賃貸ラボ施設。

資生堂は毛髪再生医療の早期実現に向け、カナダのバンクーバーのバイオベンチャーのRepliCel Life Sciences Inc. の毛髪再生医療技術(RCH-01) について、2013年7月に日本・中国・韓国を含むアジアを対象とした技術提携契約を締結した。
両社は技術改良で協力し、商業化に向け、それぞれのテリトリーでのヒトでの臨床試験を行う。

資生堂はRepliCel に対し、技術料として4億円を支払う。

RepliCel は自家細胞・再生医療技術を研究開発しており、研究中の他の技術は下記の通り。

 RCT-01 腱の再生
 RCI-02 
Dermatology Injector Device
 RCS-01 
肌の若返り術

資生堂が導入したRCH-01技術は、RepliCel が10年以上、基礎研究や臨床研究を行い、安全性を担保した毛髪再生・特許技術で、毛髪の成長に重要な役割を果たすとされる毛球部毛根鞘細胞を患者の頭皮から採取し、培養した後、脱毛部位に注入し、退縮した毛包を再活性化させ、脱毛部位の健康な毛髪の成長を促すもの。

まず、患者の後頭部(有毛部)から約20個の毛包を含む頭皮(直径5mm前後の円形)を切除し、そこから底部毛根鞘細胞だけを取り出し、RepliCelが開発した細胞培養プロセスで培養した後、患者の脱毛部位に注入し、脱毛部位における健康な頭髪の成長を促進させる。

同社のホームページのRCH-01 - Hair Regeneration の下部のLearn About the Procedure をクリックするとYouTube で手順が見られる。

植毛のように広範な頭皮の切除は不要なため、外科施術における身体的負担が小さいほか、患者自身の細胞の移植であるため、リアクション(移植後の拒絶反応など)のリスクが小さい、育毛料と比べ、一度の施術で効果の持続が期待できる、男女問わず応用が期待できるといった特長があるとされる。

資生堂では、今後、RepliCelの毛髪再生医療技術と自社の技術を組み合わせ、専門医とも連携することで、脱毛症や薄毛に悩む人に美容と医療を融合した安全で有効な毛髪再生医療の事業化を5年をめどに目指していく計画としている。

 

 

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