主要医薬会社の2014年3月期決算とIFRS方式

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武田薬品、アステラス、第一三共と中外製薬(12月決算)は連結決算について、本年度から国際財務報告基準(IFRS方式)に変更した。

企業会計審議会は2009年6月、「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)」を取りまとめ、一定の要件を満たす企業に対し2010年3月期の年度から国際会計基準による連結財務諸表の作成を容認する方針を示した。

武田薬品は以下の通り述べている。

IFRS適用の目的
 ・欧米同業他社との財務情報の比較可能性の向上
 ・グループ内会計基準の統一による財務情報の均質化
 ・資金調達の選択肢の拡大

損益に及ぼす主要な差異

項目 日本基準 IFRS
①のれん償却 20年以内で償却 償却せず、毎期減損テストを実施
②有形固定資産償却 海外子会社を除き主に定率法 定額法に統一
特定の研究開発用設備は取得時一括費用処理 資産計上し、定額償却
③導入一時金、マイルストン 取引発生時に研究開発費処理 無形資産に計上、上市時点から定額償却
減損テスト実施
④退職給付引き当て過不足 発生から5年で償却 損益扱いせず(その他包括利益として認識)
⑤営業外、特別損益   営業外は金融損益に限定
残りのほとんどは営業損益
損益表示 営業損益
営業外損益
(経常損益)
特別損益
(税引前損益)
営業損益
金融損益

   ー
  ー

(税引前損益)

武田薬品の2013年3月期の営業損益は、この組み換えにより、従来の日本方式の1225億円から650億円へと大幅に減益となっている。


各社の対比は以下の通りとなる。(億円)

会社 基準 営業損益   税引前損益
2013/3 2014/3 増減 2013/3 2014/3 増減
武田薬品 IFRS 650 1,393 +743 1,331 1,589 +258
日本基準 1,225 1,557 +332 1,297 1,570 +273
差異 -575 -164   34 19  
 
アステラス IFRS 1,216 1,168 -48   1,271 1,220 -51
日本基準 1,539 1,773 234 1,247 1,317 70
差異 -323 -605   24 -97  
 
第一三共 IFRS 987 1,116 129   959 998 39
日本基準 1,005 1,159 154 921 1,093 172
差異 -18 -43   38 -95  
   
中外製薬 IFRS 747 787 40 727 769 42
日本基準 764     753    
差異 -17     -26    


ーーー

各社の損益対比は以下の通り。 IFRS適用企業は2013/3もIFRSベースで表示している。

売上高


 

営業損益



経常損益(IFRSの場合は税引前損益)     

当期損益



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